第3話「そして羞恥の発育検査へ」
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それから次の学校の日、放課後になるなり担任から残るように言われた。進路の話題に関係なくとも、話し合いに便利だな進路指導室へ連れて行かれ、テーブルを挟んで向かい合うようにして麗華は椅子につく。
「何の用ですか?」
嫌な思いをしたばかりで、麗華はどうしても冷たくなってしまう。
二度とあんな検査は受けたくない。
「まあ、まずはこれを見て欲しい」
テーブルにはノートパソコンが置かれており、担任はマウスを使って何かの画面を開く。モニターが向けられた時、そこに流れていた動画に麗華は目を丸めた。
「なんですかこれは!?」
いつもなら冷静な麗華が、切迫した声をあげてしまう。
その流れている動画は麗華が受けたドーピング検査のものだった。尿意に耐えるためにアソコを手で押さえ、モジモジしている格好悪い姿。短パンと下着のパンツを一枚ずつ下ろされ、恥ずかしい部分があらわにされていく瞬間……。
そして、あてがわれた尿ビンに排尿を終えるまでがしっかりと残されて、あろうことか担任教師のパソコンに保存されているのだ。
信じられない。
誰かの間違いでないかと目を擦るが、どうみても麗華自身が写っている。考えもしない思わぬ事態にゾッとして、麗華は自分の身を抱いた。
「なあ、麗華。この動画どうしようか」
悪魔の一声が響いてくる。
「脅迫するつもりですか?」
麗華は声を荒げる。
「そうだね。これを剣道部のみんなに見られたりしたら、君も困るだろう?」
こんな動画を握られては、心臓を握られているも同然である。本物の命ではないが、生殺与奪を握られたようなものである。完全なる優位に立った担任は、悪魔となって腹黒いく笑っていた。
「くっ……」
もはや麗華にはどうしようもない。
この場でパソコンを壊してやれば、という考えもよぎる。剣道では強すぎる程の麗華なら、例え男が相手でも丸腰で勝つことは難しくない。パソコンさえ奪い取れば、今ここでデータを消し飛ばしてやることは造作もないことだ。
そう思考が及んだ時には既に麗華は構え気味になり、目を鋭くして椅子から半立ちになっていた。今にも担任へ飛び掛りそうな勢いだ。
しかし、麗華が動くよりも先に担任は言う。
「別のパソコンにもデータはコピーしてあるし、ネットに流す準備もある。ここでこのパソコンをどうこうしても、意味はないよ?」
それは呪文のように働いて、麗華の武力行使を完全に封じ込めた。ともすれば殴りかかっていたかもしれない腕はぴたりと止まり、身構えるための全身の筋肉からさえも力を抜かれる。麗華は抗う手段を失っていた。
「……最低ですね」
これでは吐き言葉を吐いてやる程度しかできる事がない。
もちろん頭の片隅では警察への通報も考えるが、この動画があるということは、担任は検査を担当したあ
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