第3話「そして羞恥の発育検査へ」
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の二人と繋がっていることになる。仮に担任一人がどうにかなっても、残る二人に捜査の手が回るよりも早く、ネットに流されてしまいかねない。
――何も出来ない。
剣道で鍛えたこの腕で解決できれば簡単なのに、犯罪相手なのに武力も使えない。
そんな悔しさを噛み締めながら、麗華は大人しく椅子に座り直すしかなかった。
「まあ、とはいえ君の貞操が目的じゃない。脅すといっても検査を受けて欲しいだけだよ」
「検査というのは、この前の医師が持ちかけてきた……」
麗華の脳裏にいやらしい笑みが蘇る。
「そうだよ。これはきっかけだ。君は身体を曝け出し、相応の報奨金を得る。学校側には契約金が入り、医師の方々には貴重なデータが行き渡る。全員が勝ち同然の特をするトリプルウィンだ」
人を脅迫しておきながら、何がウィンだ。
どうにかならないものかと必死に思考を巡らせるが、切り抜ける方法は全く浮かばない。いや、何かあるはずだ。冷や汗を流し、焦りに焦りながら頭の中から考えを必死に探る。それでもやはり浮かぶものは何もなく、麗華は爪が食い込むほどに拳を握り締めた。
「正当な取引とは言えませんね」
「それじゃあ、部員のみんなに放尿動画を見られるのとどっちがいい?」
そんなことになれば……。
いつも顔を合わせている仲間達にそんな痴態を見られては、もう二度と彼らとまともに顔を合わせられない。こ
ほとんどの後輩は自分を慕って着いて来てくれている。
部長であり実力トップでもある麗華の痴態を公開されては、剣道部全体の士気にさえ関わりかねない。
先輩を酷い目に遭わせたと復讐でも考えてくれるだろうか。
それとも、身内の恥ずかしい映像は貴重だとして、男の子のオカズにされるだろうか。
どちらにしても、動画を公開されて良い結果が待っていることはありえない。ネットに流される可能性、部員どころかクラスにまで流される危険性、警察を頼ったとしても不祥事を起こす輩に当たってしまうケース……。
考えれば考えるほど、思考はマイナスにしか向かわない。
最後まで打開策が浮かぶことはなく、そうなると麗華にできる返事は一つだった。
「……わかりました。検査を受けます」
麗華は屈辱を飲み込んだ。
*
検査は指定の病院施設を借りて行われ、交通費は支給されることになっている。
当日の日曜日を迎えて、麗華は予め渡された交通費ぴったりの小銭でバスに乗り、病院前のバス停で降りる。
服装は学校のセーラー服だ。
制服で来いという指定はなかったが、わざわざ私服を披露してやる気にもなれない。男は女子の私服を見て喜ぶことがあるので、あえていつも通りの服にして楽しみを減らしてやった。というつもりで麗華はいる。
既に迎えに担任とあの医師が来ていて、麗華は案内に
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