第2話「世にも屈辱的なドーピング検査」
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さい」
担当者が命じてくる。
普通なら麗華の方が金を取れるほどのことをしているのに、どうして自分がお礼を言う立場になっているのだろう。
「…………」
黙っていると、担当者が声を荒げる。
「ほら、早く言いなさい!」
ただではおかない。
配慮がないばかりか辱めさえしてくるこんな連中、絶対に抗議して問題にしてやる。放っておけばどこかで同じことを繰り返しかねない。何より、自分にこんな思いをさせた二人を麗華は許すことが出来ない。
「……ありがとうございました」
震えた声で礼をして、早足で早々にトイレを出た。
*
試合には勝てた。
昨年も出会った相手と再戦になり、以前にも増して力をつけた相手に苦戦した。麗華といえば試合中に検査のことがフラッシュバックしないよう必死に集中し、それでも身体に染み込みさえしている屈辱感に調子を狂わされた。
どうにか一本を取はしたが、検査のせいでモチベーションが落ちたのは確実だ。麗華としては仮に負けても言い訳などしたくはないのだが、だからといってあの二人を糾弾しないわけにもいかない。
彼らに抗議を、あの事を問題に――。
試合後、麗華の頭はそればかりになっていた。
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