第2話「世にも屈辱的なドーピング検査」
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だからいいだろう。わからないのはカメラだ。そんなものを一体どこでどう使うつもりなのか。麗華の胸には不安がよぎり、そして限界近い尿意が麗華を苦しめる。
「そうですね、早く致しましょう。あまり待たせては、彼女はオシッコが我慢できなくなりそうですから」
「……っ!」
医者の言葉に麗華は歯噛みする。
わざと言ったに違いないので、いつもの麗華なら確実にそのあんまりな態度に不快を示していた。大人が相手だろうと堂々と注意してたしなめてやりたいところだが、尿意のせいでそんな余裕がない。
二人の案内に導かれ、麗華は女子トイレへ到着した。
「では検査を始めますよ」
と、担当者。
担当者は麗華の肩を抱くようにして女子トイレへ入り込み、医者もまるで当然のようについて来た。
「あの、これはどういう……」
女子トイレだというのに、あまりに堂々と男が入ってきている。
「オシッコはワタシ達の目の前で出して頂きます」医者は語り始める。「確かに君自身の尿を採取した事を確認するため、放尿のしている瞬間を観察し、記録に残す必要があるのです」
「そ、そんな……」
非人道的だ。
こんなことがあっていいのだろうか。
「言っておくけど、検査を受けないと大会には出場できませんよ?」
担当者が無情に追い詰めてくる。
「何故私をこんな検査に」
「麗華さんのあまりの実力に疑問を持って、言いがかりをつけた人がいたんですよ」
「だからといって、これは――」
麗華は女子トイレにまでついて来た二人を交互に見る。担当者の持つカメラを目にかけ、顔を背けた。
「ま、そりゃドーピングなんてありえないでしょう。それでも対応せざるを得なかったのは申し訳なく思っていますが、潔白を証明した上で勝ちあがれば誰も同じことは言えなくなります」
それでも、放尿を撮影されるなど耐えられるのだろうか。肉体の強さならいくらでも鍛えてきたが、羞恥に耐え抜ける自分となると想像できない。
「さあ、早くしませんと中学生にもなってお漏らしをすることになりますよ? ほら、早くすっきりしたいでしょう?」
医者の笑みはいやらしく麗華を向く。さきほどから、明らかに人を貶めたくて仕方がないように見える。しかし、やはり注意したり怒りを示す余裕もなく、武道で鍛えた精神でもって堪えることしか麗華にはできない。
明らかに納得のいく扱いではなかったが、大会出場がかかっていることもある。ここで下手に反抗するのは得策じゃない。
ここは屈辱を噛み締めるしかない。
覚悟を決めて耐え忍び、抗議は後から行うのだ。
少女に対してここまで気遣いのない態度を取るようでは、今後もこの医者はあらゆる女の子を辱めかねない。
「……わかりました。早く検査をしてください」
医者は口元を大きく吊り上げ、不快な笑顔を向け
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