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『曹徳の奮闘記』改訂版
第八十八話
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 国境付近の村に到着すると、村はほぼ廃村に近い状態であった。それでも村人はおるらしく村長が俺達を出迎えた。

「盗賊の住処とか分かるか?」

「へぇ、荊州に近い砦を住処としています」

「砦? そんなのあったのか?」

「へぇ、十五年くらいまでは孫呉が警備していましたが砦が別のところに築かれてから廃れています。盗賊達はそこを住処にして儂らの村を……」

 そこまで言った時、村長の肩が震えていた。悔しかったんだろうな……。

「分かりました。我々が殲滅致します」

「おぉ、ありがとうございます」

 村長が俺達に頭を下げた。そしてそのまま砦に向けて出発した。

「数は約五十……腕が鳴るわね」

「無茶しないで下さいお母様」

 ウキウキしている夏蓮に蓮華はそう釘を刺していた。

「し、見えてきた」

 白蓮がそう言って目の前の小規模の砦を見つめる。ちなみに近くの草むらで隠れている。

「どうする長門? 正面突破をするのか?」

 蓮華が俺に聞いてきた。

「いや……正面突破したら盗賊は散り散りに逃げるだろう。俺達は奴等を殲滅しなくちゃならんよ」

「……思春がいれば……」

「無いものねだりしても仕方ないぞ蓮華。思春もわざわざ盗賊の数を調べてくれたんだ」

 盗賊の数が五十だと分かったのも思春がわざわざ調べてきたおかげだ。

「雪風は弓矢での狙撃に専念してくれ。護衛は白蓮だ。頼むぞ」

「はい、お任せ下さい」

「うん、任しておけ」

「猪々子と斗詩は砦の裏から。俺達が正面から攻撃するから後ろから奇襲してくれ」

「分かったよ兄貴」

「分かりました」

「それで私はどうするのですの?」

「……今言っただろ? 俺達と正面から攻撃するんだ」

「な、何ですってッ!?」

『(聞いてなかったのか?)』

 袁紹の発言に全員がそう思ったのであった。

「まぁええや、それじゃあ作戦を始める。皆、死ぬなよ」

『おぅ』

 皆は頷いて所定の位置についた。

「んじゃやるか」

「ウフフフ……」

「……はぁ……」

「何で私がこんな事を……」

「……大丈夫かな……」

 俺は溜め息を吐いたがそれは直ぐに杞憂に終わった。

「こ、江東の虎だッ!?」

「何で奴が此処にいるんだッ!!」

「逃げろッ!!」

「アハハハハハッ!! 逃がすわけないでしょッ!!」

「……怖いなおい」

 俺は夏蓮を見てそう思った。何せ夏蓮は盗賊の返り血を多数浴びて鬼みたいな表情をしているからな。

「くそがァッ!!」

「ふッ!!」

「がぁッ!!」

 一人の盗賊が俺に斬りかかろうとするが
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