第4話 新たな日常の現状
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協会の長の近衛詠春さんも同じようだ。まぁ、実際はもっと最悪だが。
☆ ★ ☆
古くは奈良平安の時代にさかのぼる陰陽寮から続く関西呪術協会−−−つまり日本の術者組織の頂点−−−の代々の長を近衛宗家が担ってきた。それが現関東魔法協会の理事近衛近衛門が若かりし頃に出奔したところからおかしくなった。当時は近衛宗家の将来性確かな有能な青年の1人が出奔して出て行っただけであった。それが、近衛近衛門が関東魔法協会の理事に就任する前後に近衛宗家が全滅したのだ。
非常にきな臭い。
もちろん、色々関与は疑われたが、その多くは仕事中の事故死であり、偶然だと片付けられた。
だが、とにかく新たな長を選出しなければならなかったわけだが、宗家の唯一の生き残りだとしても、出奔し、しかも関東魔法協会の理事になっている人間、というか魔法使いに関西呪術協会の長を務めさせるわけにはいかず、結局、近衛分家で将来を嘱望されていた近衛ほのか嬢が、近衛近衛門の養女となることで近衛宗家を継ぎ、関西呪術協会の新たな長に就任することで決着した。
あるいはここで、近衛宗家以外から新たな長を立てるという選択をしていれば良かったのかもしれない。
時は二十数年前。後に魔法世界で「大分裂戦争」と呼ばれる大戦が開戦した頃である。
関東魔法協会と繋がるメガロメセンブリア連合は彼らが旧世界と呼ぶ世界の住人に戦力を求めた。
関西呪術協会はそれを拒否。
何の縁もない−−−というか、潜在的以上に敵対勢力である−−−ところから戦力を求められてほいほいと出す者がどこにいよう?
ただ、そんな中で、若い者や血の逸る者の中から「義勇兵」というカタチで戦争に参加する者が出て来る。これらの大部分は自らの力の研鑽あるいはその力を試す場として戦場を求めた者である。この中には後に「紅き翼」として知られる「青山詠春」もいた。
それ以後も再三再四に渡り大戦参加の要望が関東魔法協会を通じて関西呪術協会へとあったが、長である近衛ほのかは断り続けた。
が、ある日突然翻意し日本全国の傘下組織から人を集め、魔法世界へと送り出す。その際、後方支援・医療行為のみ行うとして、100人の担当術者と200人の護衛を送っている。
なお、「近衛近衛門からの義理の親子としての圧力」「婚約者である青山詠春を守るため」等、この判断に不満に思う人々から臆測紛れの誹謗中傷が多々流れている。
で、この300人が無事戻って帰れば良かったのだが、この日本の最精鋭とも言える優秀すぎる集団は、その優秀さ故に非凡な結果を出し、後方から前線へ、前線から最前線へと送られてしまう。当然、抗議はすれど満足な返答はなく、戦時故に流されてしまう。
そして、悲劇は起こる。
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