序章:――
第二話:猫(神)の恩返し 前篇
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「にゃははははは」
「笑うところじゃねーだろ」
笑いどころですらねーよ。
なんてこった。馬鹿やっちまった。完全に死に損じゃねえか……。
「んで、そんなお馬鹿なおみゃーさんに、選択肢があるんにゃけど」
「なんだよ」
「このままあの世に行くか、別の世界で別人として生きるか、にゃ」
「……ん?」
流れ変わったか?
「流石に、みーの危険を案じて助けてくれた馬鹿を、笑ってあの世に見送れるほど神経図太くにゃいよ。みーは神様だから、生き返らせることは無理にゃけど、せめて別世界に転生という形で召喚させることくらいにゃら出来るにゃ」
そう言って、白猫は足元を指(?)差す。
そこに現れたのは、俺が事故に遭う直前に購入したエロゲ『マレフィクス・オムニス』だ。
外箱はズタボロになっていて、まるで丸めたティッシュのような形になっていた。それでも、袋に包まれていたおかげか、俺の血がこびりついているようなことはなかったので、なんとかタイトルを読み取ることが出来たのだ。
「おみゃーさんの左手に巻き付いてたヤツを持ってきたんにゃ」
「……こ、これはまさか」
このシチュエーション。神様。異世界。転生。
そしてエロゲのパッケージとくれば、あとは……、
「――行き先は、このゲームの世界にゃんだけど」
「行きたい(小並感)」
「にゃにゃ、即決だにゃあ、もうちょっと色々考えた方が――」
「考えるまでもないだろうがぁあああああっ!!」
「にゃにゃ!? びっくりした」
「うひょぉおおおお! み な ぎ っ て き た !!」
「すごいテンションにゃ……」
そりゃそうだろう!
ていうか、"異世界転生"ってだけでも胸熱すぎるのに、加えてエロゲの世界ってをい!
つまり二次元の世界だぜ!? 長年夢見たユートピアだぜ!? テンション上がらずにいられるかぁああああっ!
「神様! ありがとぉ!! 本当にありがとぉ……っ! くうぅ……」
「泣くほど嬉しいのか……。まあいい。行くにゃら行くで、色々としにゃきゃにゃらにゃいことがある」
「もう一回言って?」
「しにゃきゃにゃらにゃいことがある」
「ルビの無駄遣いだ……」
「黙れ」
白猫はぴしゃりと言いのけて、俺から数歩分くらい離れて、こちらを振り向く。
「ちょっと目を閉じるにゃ」
「? こうか?」
言う通りに目を閉じる。
どきどき。
「な、何が始まるって言うんです?」
「――今から、おみゃーさんとみーは、ある契約を交わすのにゃ」
「契約?」
「そう。おみゃーさんにとっての異世界で、生きていくために必要な力を、今から授けるにゃ」
「な、なるほど」
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