序章:――
第二話:猫(神)の恩返し 前篇
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なるほど、流石だ。猫は十年以上生きると、人語を解し、妖しの力を使えるようになるというからな……」
「キャットキック!!」
「ごふっ!?」
猫は突然怒りをあらわにし、俺の鳩尾にドロップキックを炸裂した!
見た目以上の脚力と、技名からは想像できないような攻撃力が、俺を襲う。
「みーを妖怪にゃんぞと一緒にするにゃ! みーは神様にゃ!」
「え、まじで?」
「にゃ!」
敬え、跪け! とばかりに、二本足で立って、えへんと胸を張る白猫、もとい神様。
神々しさは微塵も感じられないが、説得力はあった。
なぜなら、事故で死んだはずの俺の魂が、なんとか冥界付近で留まっているのは、たしかにこいつのおかげらしいのだから……。(←二次元脳)
あれ? でもちょっと待てよ?
「なあ、神様なら、なんであの時トラックに轢かれそうになってたんだ?」
「神様だからって万能じゃにゃい。視界以外のモノは見えにゃいに決まってるだろうが」
「え? 神さまって、そんなもんなの?」
「神様だからって何を期待してるんだにゃ。神は全能だなんて、人間たちの勝手な妄想だにゃ」
おっそろしいことを言い出しましたよ、この猫。いや、神か。
深く掘り下げると色々なものを敵に回してしまいそうなので、俺は当たり障りのない言葉を選んで話題をそらしておく。
「神様も視界に縛られるのか〜」
「当たり前だにゃ」
ペロペロと、毛繕いをしながら衝撃的な事実を言ってのける猫(神)。
いや、神(猫)なのか?
「まあ。全能ではにゃくたって、トラックに轢かれたくらいじゃあ、みーも死にゃあしにゃいんだがにゃ」
「へえ、頑丈なんだな。流石神さま」
「えっへん」
「ん?」
「にゃ?」
あれ。あれれ? 『トラックに轢かれたくらいじゃ死なない』とな?
「え」
「あ……」
エエエエエエエェェェェェ(´Д`;)ェェェェェエエエエエエエ!?
驚愕の事実。
「じゃあ、俺って、もしかして……」
「にゃあ」
「もしかして……」
「ごろにゃー」
「……何とか言えよ」
「ごろごろ」
急に喋れなくなりました―、とでも言わんばかりに、片腕で顔を拭う仕草をする白猫。
普段ならヌコ萌え〜、なんて具合に癒されるシーンなのだろうが、この状況ではそんな心の余裕はない。
「いわゆる、無駄死に?」
「無駄死に」
ヌコ語萌え〜。
なんて和んでる場合でもない。
「いや、まあ、神様でも痛いことは痛いから、無駄は言いすぎたんにゃ。せいぜい、骨折り損のくたびれ儲けくらいにゃ」
「骨折るどころの騒ぎじゃなかったけどなっ!」
くたびるどころか、ひしゃげてたしな! 俺!
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