三話目
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ッ! 三丁目の公園にいるから!》
「ちょ、ちょっとッ!?」
高町は言いたいことだけを伝え、通話を切った
事情はわからないが、とにかくなにかあったんだろう
「いけよ。僕よりなのはが最優先だ」
「あんたのためにこの道選んだんじゃないっての! 言われなくともそうするわよッ!」
バニングスもまた言いたいことだけを伝え、三丁目の公園を目指してひた走る
「…だから素直じゃないってからかわれるんだぜ」
曹条のそんな呟きを耳にすることなく
アイツだ。そうだ、アイツがいい
電柱に隠れて自分と同い年であろう男子を見つめる少年がいる
人は回りにはいないし、アイツ自身強そうに見えない
なにより"あの子"好みの目をしている。きっとあの子も喜んでくれるだろう
少年は標的を決めると、自分の背後からヌッと幽霊を出した
今までの奴ら同様えぐりだしてやろう。今回はそう…、今回は喉仏にしよう
大人程の大きさの幽霊をゆっくりと男子に近づけていく
幽霊は指の骨を鳴らしながら動かす、そして男子の喉仏をえぐり出す
かのように見えた
『オラァッ!』そんな野太い声と共に男子の肩から出た逞しい腕が、幽霊の腕を殴り飛ばす
驚きのあまり目を見開いた。しかし少年の勘かそれとも幽霊の意思か
幽霊は最初からいなかったかのように姿を消した
「…そこに、誰かいるんだな?」
ゾクリとした。少年はこの力は自身の物だけだと思っていたからだ
しかし違った。実際にはここにもいた
「いるんだろって聞いてるんだぜェ〜〜!!」
男子は目を見開き、背後から少年と同じように幽霊を飛び出し、こちらを凝視した。目には明らかに怒りの色が浮かんでいた
少年"武道尚伴"は間違いを一つ犯していた。それは、選んだ相手が同じ力を持つ男子"曹条浦保"だと言うことを知らなかったということだ
「場所は限られる…。曲がり角、電柱、塀の後ろ…。だが僕が一番きな臭いと思うのはッ! どうあがいても電柱なんだぜッ!」
『オラァッ!』という声と共に曹条の幽霊が電柱を殴り飛ばす。ビンゴだった。武道は電柱の後ろで立っていた
「…テメェだな? 僕の喉仏をえぐりとろうとしたのはよォ〜」
「…」
「黙りを決める気か? だが…。僕はもうテメェを犯人だと思っている。だから、何も言わねぇなら、そうだと決めつけて…テメェをあの電柱と同じようにビキビキに壊してやるよ」
曹条は嘘をついていなかった。何も言わないのなら本当に殴り飛ばそうとしている。武道にもその覚悟は伝わった。言い訳など出来ない性分の武道も覚悟を決めた
「…その感じ、やっぱりテメェか。ならッ!」
「ぶん殴ってビキビキにしてやるよォッ!」
『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラッ!』
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