十六話
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せいでレイフォンがハゲに……。おとーさーん!」
そのままサーニャは涙目で厨房の方に駆けて行った
ちゃんと教えられているのか、涙目ながらも手を消毒し割烹着を素早く来て父親の元へと向かった
「いや、スマンなレイフォン。頭大丈夫か」
「ええ……まだ少し痛いですけど、血とかは出てませんし大丈夫です。それより、良いんですかさっきの? 店長のとこ行きましたけど」
抜かれた部分をさすりながら、サーニャに嘘を……嘘だと思いたい事をついたことを聞く
店長は娘のサーニャを溺愛しているので、泣かしかけたと知れたらどうなるか。フーリエには鉄拳制裁でも下るかもしれない
「あ〜……確かにまずかったか。反応が面白いからついいじり過ぎちまう。手持ち無沙汰でやっちまった」
時給下げられちまうかな。と呟きながらどんなもんかとレイフォンの抜けた髪の部分をフーリエが覗き込む
「……あ、やべ」
「え? ちょ、どうなってるんですか!?」
「いや、ほんとスマン」
フーリエが急に真顔になって謝ってきたので慌てて頭を探るが、特に何かなっている感じはしない
それでも安心できないまま探っていると、厨房の方からサーニャが戻ってくるのが見えた
少し泣きでもしたのか顔を赤くし、涙目で歩いてくる
「……ゴメンねレイフォン。お父さんに聞いたら、『やってしまったなサーニャ。これでレイフォンの将来に神は、いや、髪はない』って」
((……なんでそうなったの))
予想を斜め上を垂直に降下していく様な店長の返答に内心叫ぶ
「だから、『レイフォンの未来を奪っちまった分、責任をとってレイフォンの未来を貰ってやれ』って」
「てんちょー!?」
余りの展開にレイフォンは思わず叫んでしまう
「……グス。ねえ、どうすればいいの?」
サーニャに聞かれ、どうすればいいのかと考える
その横で、フーリエが小さく呟く
「なるほど、そう来たか……やるな店長。……あれ、これ俺御咎め無しじゃね?」
思わずそちらを見るとフーリエの視線は厨房へ。そしてその先には店長が
グッ!
グッ!
無言のまま二人は互いに親指を立てあう
((あ、なんだろうこの気持ち))
良く分からない若干黒い気持ちを二人に抱いたまま、涙目のサーニャに向いて弁解する
「いや、そんな簡単に禿ないから大丈夫だよ。このくらいで禿たら、僕の父さんとっくに禿てるから。フーリエさん達の嘘だよ」
弟たちの遊びに付き合っていた昔のデルクを思い出しながらサーニャに告げる
それを聞きサーニャは厨房の方を向き、父親がそっぽを向いたのを見て騙されたと理解し、今度は悔しさで顔を赤くしてフーリエに蹴りかかる
「ウソつくなこの野郎! ばーか!!
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