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神々の黄昏
第一幕その六
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「私がこのラインのほとりに幸福に無為に暮らしていてそれがギービヒの名を辱めてはいないだろうか」
「それはない」
 ハーゲンは重厚な声で彼に答えてきた。
「グンターよ」
「うむ」
「貴殿は正統な血を受け継いでいる」
「そのギービヒのだな」
「そうだ。私はそれを羨ましく思う」
 こう彼に語るのである。
「それが我等兄弟を生んだクリムヒルデの教えなのだ」
「いや、羨望するのは私だ」
 だがグンターはこう彼に返した。
「私はこの家の主にはなったが知恵を授かったのはそなただ」
「私だというのか」
「そうだ、義理の兄弟が争いが絶えず和解は難しいという」
 何も兄弟のことだけではないがだ。
「私は御前の助力にいつも感謝している。名を挙げるのにいつも御前の知恵を借りている」
「それは違う」
「違うというのか」
「貴殿の名声がまだ充分と言えないから」
 それは不足だというのだ。
「私の助力は称賛に値しない。何故ならだ」
「何故なら?」
「私はギービヒ家の手に入らぬ素晴らしい宝があることを知っている」
「その宝とは何だ?」
「ギービヒの家は夏の大樹の如く栄えているが」
 それでもだというのだ。
「だが貴殿は一人身でグートルーネにも夫はいない」
「そのことか」
「そうだ、そのことだ」
 話をさらに進めていく。

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