第一物語・後半-日来独立編-
第三十七章 風断ち行く者《2》
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は、使用者であるマギトの背丈よりも長く、加速機を唸らせていた。
掴み、自身の翼を広げ一回転。
背後にあった拡張空間は閉じ、前にいる黒魔法術師が楽しそうに叫ぶ。
「黒姫・魔闇、魔装完了!」
黒の魔女が空に立つ。
笑い、感情が高ぶってくる。
久し振りだよね、この感覚。
笑みを崩さず、騎神を見下ろす。
彼方は魔装を知っていた。
ならば、魔装を行えると言うことはどういうことかも知っているだろう。
油断や手加減はもうしてくれないだろう。
だが、そちらの方がこちらとしてもやり易い。
それこそが戦いだ。これこそ戦いだ。
「きゃ――はっはっは!」
駄目だ。感情が今にも暴走しそうで、笑いで腹筋が疲れる。
どうにかしそうなので、取り合えず騎神に向かって摩箒による砲撃を放つ。
「果てちゃえ!」
銃砲口の役目を果たす加速機を騎神に向け、砲撃による一撃を放った。
螺旋を描き、飛距離と貫通性を上げた砲撃は一直線に騎神を穿つ。
避ける暇無く、騎神は腹部に砲撃を食らい機体が大きく揺れる。
装甲により防がれ機体は貫かなかったが、衝撃くらいは伝わった筈だ。
騎神は素早く体勢を立て直し、マギトを中心に大きく旋回し始めた。
先程よりも明らかに違う敵を前にして、自身の性格により積極的になれないからだ。
『砲撃の速度が上がった!? 威力は対したことないようだけど、厄介だ』
砲撃を食らった腹部の装甲に傷は無い。速度を重視し過ぎて威力が犠牲になったのだろう。
右手に持った長銃を背に設けられた武器装着部にしまい、代わりに短機関銃を手に取る。
弾丸の代えはある。この魔法術師を倒せれば、こちらの士気が上がるというものだ。
しかし、本当にそれでいいのか。
迷う気持ちを振り払うように、横に頭を振り迷いを消す。
騎神はある程度の距離を置き、こちらを見ている魔法術師に銃撃を放つ。
非加護射撃だが、こちらはまともに戦闘する必要も無い。
何故なら、相手はパートナーのいない魔法術師だ。
彼方はこちらを倒しに来ている。ならば、魔法術師の宿命でもある体温を犠牲にした魔力の使用は命に関わる。
魔力を使い、長時間が経てば死の危険性が高くなり彼方は攻撃をしなくなる。それでお仕舞いだ。
ならばこちらは遠距離からの攻撃により、魔力を使わせるように誘導してやればいい。
近接戦闘では彼方は小回りが利く分、こちらより有利になるかもしれないが、加速機で対処は出来る。
更にこちらには、近接戦闘武器の流魔刀があるのだ。
実戦装備ではないが、そうでなければ戦うことが出来無いわけではない。
放たれた砲撃を避け、反撃として銃撃を行う。
「直線距離約六十メートル、なら曲線の場合は――」
マギトは騎神との距離を計
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