第一物語・後半-日来独立編-
第三十七章 風断ち行く者《2》
[3/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
よし、これで後二人!』
「――なわけないよ! まだまだこれから!」
『何故!? 確かに当たった筈じゃ……』
砕けた流魔弾が放った欠片の向こう、そこには日来の魔法術師が無傷で宙に飛んでいた。
翼人族であることを示す金と言うべきか黄と言うべきか、その翼を広げて。
魔箒狙いは変わらないが、傷の一つ二つ負ってもおかしくは無いのに。
流魔弾をマギトは持っていた魔箒を盾にし、それを防いだのだ。
魔法術師は先程まで乗っていた魔箒を盾代わりにし、放った流魔弾を防いだのだ。
だが魔箒は流魔弾に当たったことにより、その本体は砕け、ひびが入り使い物にならなくなっていた。
これには騎神の操縦者は驚いた。
『自ら持っていた魔箒で防いだのか。自身の戦力を削いでまで』
「へへへ、ものの一つ二つ失っても代えがあるから心配無いんだよ。でも、命って代えが無いよね?」
『何が言いたいんですか』
「何を言いたいんだろうねえ?」
『馬鹿にして……。日来のクセに!』
言葉の後、加護有りの銃弾がマギトを狙い来た。
これは防げないだろう。
騎神の操縦者はそう思い、魔法術師に声を掛ける。
『貴方にこの五つの銃弾は防げません。降服してください』
「あー、それ無理。だって騎神と戦うことが役目だから。それに言ったよね、まだまだこれからだって」
馬鹿なのか、そう思った。
魔箒を失って、そこで諦めは付く筈だ。
騎神相手に生身でどうこう出来るわけが無い。手詰まりな筈なのに、何故諦めないのかと思った。
そこまでして彼らに、日来になんの得があるというのか。
魔法術師は笑みのまま、自身を穿とうとする弾丸を避けようとはしなかった。
代わりというように彼女の周辺の大気に、赤い陽炎のようなものが立っていた。
何が起こっているのかと、疑問に思うと同時。魔法術師が赤に包まれた。
眩しい。それに熱い。
離れていても熱を感じるのだから、本人はどれ程の熱を感じているのだろうか。
思い視界が奪われているなか、声が聞こえた。
あの魔法術師の声だ。
●
赤に包まれているマギトは、視界に映っている騎神を見ていた。
全長十五メートル、空戦装備の非実戦装備であり実戦訓練機。
腰装着型加速機|《ウエストスラスター》に加え、脚部も脚型加速機|《レッグスラスター》に変えられ、更に小型の加速機が脚型加速機の付け根付近と肩に付けられている。
これから解るように、この騎神は機動性重視の騎神だ。
速度では勝てない。
だけども、勝てないわけではない。
機動性重視の騎神は基本、機動力を上げるため装甲を薄くし、少しでも軽くする傾向にある。
だから、そこを上手く突ければ、
「勝てるよね――!」
銃弾が身を穿つ前に、自身の身を包
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ