第一物語・後半-日来独立編-
第三十七章 風断ち行く者《2》
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はこちらが上、発動は無理で御座る」
「美鷺殿が相手とは分が悪いで御座るな」
「こう手合わせするのは中等部の時の卒業式以来で御座るな」
「日来へ行く前の時だったで御座ったな」
離れることは無理だと判断し、介蔵は美鷺と攻防を交える。
打撃の乱舞が起こり、二人は相手の攻撃を避け、自身の攻撃を放つ。
動きにより微弱な風が起こり、それが攻防の速度を上げた。
打や平、突などの拳による攻撃と、足による攻撃が飛び交う。
それを避けるか、または防ぐかで防御し、流れを止めずにまた攻撃へと入る。
両の手足を絶え間無く動かし、均衡状態へと入ったところで二人は離れた。
「連打が上手くなっているで御座るな」
「介蔵殿も速度が昔と違い、上がっているで御座る」
「ならばお互い、鍛練は惜しまなかったということで御座ろう」
「そういうことに御座るな」
会話は途切れ、二人のいる場所は無音となった。
遠くでは戦闘艦による砲撃の音が、ある場所では雄叫びが、またある場所では何処かへ走る足音が聴こえる。
不規則に鳴る音が、一瞬だけ噛み合ったようにぴたりと音が止んだ。
再び音が鳴る頃には、二人は隠し持っていた忍刀を交えていた。
冷たい金属がぶつかる音が響き、戦場に息が吹き替えしたように所々から音が鳴り響いた。
●
大気が流れ、雲が流れる青の空。
その空を駆ける、辰ノ大花の騎神と日来の魔法術師。
先行するのは魔法術師であるマギト・ゲパルトで、その後方から遠慮気味に加速機を噴かす騎神が追う。
互いに遠距離による銃撃、砲撃を放ち空中戦を繰り広げている。
精密度ではほぼ互角だが、速度では騎神の方が上だ。
だから時折、急に曲がったり、天上に急上昇してからの急滑空などをして追い付けないように工夫している。
『これでも、喰らえ――!』
騎神が後方から銃撃を放つ。
狙いは魔法術師ではない、魔法術師が乗る魔箒|《イビルブルーム》だ。
幾ら翼人族が空を飛べても、魔箒を破壊してしまえば圧倒的にこちら側の方が有利だ。
短機関銃による実弾射撃は真っ直ぐ、魔法術師を穿つ軌道を行く。
「っ! 魔箒狙いの連続射撃、それも加護有りのホーミング弾。飛ばして行くよ!」
銃弾は全五弾。絡み合うようにマギトを追い、開いた隙間をマギトは縫うように飛ぶ。
回避を行ったマギトを狙うように、加護有りの銃弾はカーブを描き、再び追う。
『こちらもお忘れなく』
追う銃弾に気を取られているマギトに向かい、彼女の右下にいた騎神が背に背負っていた長銃を手に取り、流魔弾による射撃を行った。
反応は出来たが回避は出来ず、流魔弾の弾丸をまともに受ける。
青の欠片が飛び散り、衝突したことを告げた。
欠片が塵となり、霧のように広がる。
『
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