第一物語・後半-日来独立編-
第三十七章 風断ち行く者《2》
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日来学勢の皆は平手を放ち、宇天の伝達者を吹き飛ばした美鷺を見た。
これにより風の壁は消え、先へ進めるようになった。
だが皆は動こうとはせず、事態の説明を求めている。
「一体、どういうことなんですか?」
言うのはロロアだ。
首を傾げ、美鷺に問う。
問われた美鷺は宇天の伝達者こと介蔵に視線を向けたまま、説明へと入る。
「簡単なことで御座る。あの風の壁は発動者、つまりは介蔵殿に触れると消滅するので御座る」
「ドンタッチミー、ということですか」
「そのイーギス語は分からぬで御座るが、触ればいいので御座る。風神殿はでいりけいと、だということに御座な」
「デリケートですね、はい」
美鷺は外国語はあまり得意ではないため、発音は平仮名表記にしたようなそんな感じだ。
それでも聞き取ることは出来るので、言った本人に言い直しても何もいないということは、多分合っているのだろう。
だが、ちょっと待て。
何かが突っ掛かったように、思考が止まる。
今、美鷺は何と言ったのだろうか。
でいりけいと、の方ではない。その後、風神という言葉が思考を止めたのだ。
風神。
それは雷神の対となる存在であり、神としても妖怪としても語られる。
絵画ではよく鬼の姿をし、大袋を手に持った姿で有名だ。
中位神であるものの神州瑞穂内では有名であり、それは崩壊世界であっても変わらなかったらしい。
対となる雷神、つまり御雷神|《タケミカヅチ》の使用者が側にいなくて助かったと思った。
風神、雷神の共闘は上位神を越えるとされているからだ。
そうなっては大変なことになっていたので、それがなくて安堵の息を吐く。
「さすがは美鷺殿。速度は相変わらずと言ったところで御座ろうか」
先程まで日来の者達がいた付近に吹き飛ばされた介蔵は、何も無かったように立ち上がる。
手応えはあったが、吹き飛ばし、地面で転げ回る際に受け身を取られた。その時に平手の痛みは、受け身によって流されのだろう。
さすがは介蔵殿、と関心する。
骨にひびが入るように打った平手を、こうも容易く対処出来るとは少々彼を侮っていた。
美鷺はトオキダニに向かって、
「先に行かれよ。ここは拙者が受け持つで御座る」
「うむ、任せたぞ」
言い、トオキダニは美鷺の後ろを行く。
彼に続くように仲間達も美鷺を追い越し、歩きを走りへと変えて結界へと向かう。
「させぬで御座るよ!」
そんな彼らの動きを止めるように、介蔵は風を呼ぼうとするが、
「それはこちらも同じで御座る!」
開いていた距離を一気に縮め、行動を阻止するために打撃を放つ。
さすがにもう二回目は見切られており、地面を蹴り介蔵は後退した。
が、ここで終わらない。再び開いた距離を縮める。
「短距離で
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