第四十五話 二度目の激突その十一
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
しかし樹里はラドンは不死身と考えていた。それで上城に言うのだった。
「ちょっとね」
「倒せないよ、余計に」
「剣士の戦いに出て来る怪物はオリジナルじゃないけれど」
つまりレプリカだ。強さはそのままであるが。
「だから不死身じゃないにしても」
「うん、倒せる相手じゃないから」
「そこまで大きくて百も首があったら」
「神様だよ」
姿形が人間でないにしてもだった。
「殆どね」
「八岐大蛇みたいな感じよね」
「八岐大蛇は頭が八つだったけれど」
そして尾は八つだ。日本神話最大のこの怪物も本来は神だったという説がある。所謂蛇神という存在だ。
「それにラドン程巨大じゃないし」
「山を八つまたぐのよね」
「だから八岐大蛇らしいね」
またはまたでも股ではない。これだと七股になる。
「そうらしいね」
「その八岐大蛇と比べても」
「ラドンはとてつもなく巨大だから」
「やっぱり。普通に相手をするには」
「無理だね」
「絶対に勝てる相手じゃないのね」
「あとはケルベロスも」
上城はこの怪物についても話した。
「頭が三つで尻尾が蛇で」
「それで鬣みたいにその三つの頭の周りに蛇が一杯生えていてね」
「凄い外見だよね」
「おまけにその蛇の全てに猛毒があって」
「三つの頭からもだよね」
「ええ、猛毒を出すのよ」
つまり毒犬でもあるのだ。ケルベロスのその毒が混ざった唾液からトリカブトが生まれたとさえ言われている。
「これもとんでもない怪物よね」
「桁外れに強いよね」
「ヘラクレスだから何とか抑えられたけれど」
十二の試練の最後だった。ケルベロスを捕らえて地上に連れて来いと言われたのだ。十二の試練の中で最も困難なものと言われていた。
例え神の血を引くヘラクレスでもケルベロスの相手は困難だと思われていたのだ。そしてその通りヘラクレスもこのケルベロスには苦戦した。
それでだ。上城もケルベロスの相手はだというのだ。
「だからね」
「強くなっても」
「そうした怪物が出て来たらね」
「勝てないのね」
「絶対に無理だよ」
そうだというのだ。
「間違いなくね」
「怪物にもよるのね」
「怪物っていっても色々だしね」
これはその通りだった。ギリシア神話の怪物は実に多い。
そしてその中の怪物の中から上城はこの怪物のことも言った。
「後ね」
「後って?」
「ほら、スフィンクスだけれど」
この怪物のことを言ったのである。
「ほら、あの怪物ね」
「時々出て来るわよね」
「他の怪物と随分違うよね」
「ええ、確かにね」
樹里もその通りだと頷く。
「何かね」
「怪物って戦うだけだけれど」
普通の怪物はだ。
「スフィンクスだけはね」
「戦わないし」
「しかも何かと僕
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ