第三十話 江田島その十一
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「そこまでなんですか」
「戦力差が違いました」
当時の日本とロシアでは、というのだ。
「今だと日本の方が上でですね」
「はい、そうですよね」
「けれどその頃はロシアは日本の十倍の国力がありました」
「十倍ですか」
「はい、それだけの差がありました」
そこまでだというのだ。
「そのロシアが日清戦争と義和団事件の後に迫ってきまして」
これが日露戦争の歴史的背景である、日本は危機を迎えていたのだ。
「抜き差しならない状態になりまして」
「そうしてその十倍の相手とですか」
「戦争になりました」
「ううん、よく勝てましたね」
「本当に奇跡みたいな勝利でした」
とある皮肉屋をj気取っているが病理の域に達した反日思想の作家に勝った『ことになっている』と言われるが史実はそうだったのだ。
「外交も駆使しまして」
それで何とかですか」
「勝ったんですね」
「はい、そうでした」
本当にそうなったというのだ。
「本当に薄氷の勝利でその時に」
「日本海海戦ですね」
里香が言った。
「あの戦いに勝ったんですね」
「はい、ロシアのバルチック艦隊に」
当時世界でも指折りの強さを誇ったその艦隊に勝ったのだ、三流国と言われていた日本の艦隊がである。
「勝ちました」
「それで陸でもですよね」
「奉天の戦いに勝ちまして」
この陸での大会戦にもだというのだ。
「何とかそこで終わらせて」
「勝ってるままですか」
「戦争を終わらせたんですか」
「そうなりました」
アメリカが仲介に入りだ、無論その根回しも日本はしていた。
「それで終わりました」
「大変な戦争だったんですね」
「終わらせ方も」
「戦争jは勝っている時に終わらせる」
自衛官はこうも言った。
「そうしたものなので」
「あれっ、敵の首都を陥とすまでじゃないんですか?」
「そこまで続けないんですか?」
五人は自衛官の言葉に首を捻って問うた。
「敵の国土全てを占領するとか」
「そういうのじゃないんですか」
「確かにそうした戦争もあります」
自衛官も五人が言ったことはそうだと返す。
「それが勝つ為に必要なら。ですが」
「勝っている状態で終わらせる戦争もですか」
「そうした戦争もあるんですね」
「戦争に必要なことは勝つことです」
それに尽きる、まさに。
「ですから勝っている状態で終わらせられるなら」
「それに越したことはないんですね」
「はい、そうです」
その通りだとだ、微笑んで五人に話すのだった。
「負けている時に終わらせても」
「何にもならない」
「そうなんですね」
「そうです、ですから日清戦争も日露戦争もです」
そのどちらの戦争でもだというのだ。
「勝ったままで、です」
「終わらせたんです
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