第三十話 江田島その九
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「そうしてるけれど」
「そうなのね、私もさっき見たけれど」
「私もね」
二人で言うのだった。
「凄く、悲しいよね」
「男の子で見てて泣いてた子いたわよ」
「そうよね、私も見てるとね」
英霊達の残したもの、それを見ているとだというのだ。
「凄くね」
「そうよね」
「ええ、本当にね」
「何時泣いてもね」
そうなってもだというのだ。
「不思議じゃないから」
「泣きそう?だったらね」
景子がここで言う。
「泣く?それとも」
「人前で泣くことは好きじゃないから」
琴乃は微笑みを作って答えた。
「笑うことは好きだけれど」
「じゃあ移ろう」
特攻隊の前を離れてだというのだ。
「そうしよう」
「そうね、じゃあ今度は」
「日露戦争の資料もあるから」
日本が当時大国だったロシアに挑み勝利を収めた戦いだ、尚とある人物はこの戦争を勝った『ことになっている』と腐している。
「そっち行かない?」
「そうね、それじゃあ」
「五人でね」
景子も微笑んで言った、そしてだった。
五人で日露戦争の絵の前に行った、それは東郷平八郎が参謀の秋山真之達と共に三笠の艦橋にいる姿だった。
その絵を見てだ、彩夏が他の四人にこんなことを話した。
「確かこの人が肉じゃがのはじまりなのよね」
「そのことね」
里香が彩夏のその話に応える。
「調理の人にビーフシチューを頼んで」
「それでよね」
「肉じゃがが出来たのよね」
「お肉とじゃがいもに人参に玉葱に」
ここまではビーフシチューの素材である。カレーにも使える。
「味醂とお醤油、お砂糖を入れてね」
「肉じゃがになったのよね」
「肉じゃがはビーフシチューから出来たのよ」
驚くべきことにそうだというのだ。
「だから肉じゃがは和風ビーフシチューなのよ」
「そうなるのよね」
「じゃあ私がビーフシチューを作ったら」
和食を得意とする景子の言葉だ。
「肉じゃがになるのね」
「えっ、それはないでしょ」
彩夏は景子の今の言葉に引いて返した。
「だっておソース使うじゃない」
「あっちの味付けでってことよね」
「そうよ、景子ちゃんだって洋食にお醤油とか使わないでしょ」
「というか洋食系は作ったことないから」
「作り方わからないの?」
「おソースってどうして作ってどう使うのか」
そのビーフシチューに使うソースだ。
「カレールーみたいな感じ?」
「というか普通jにカレールーと一緒に売られてるじゃない」
まさに同じコーナーに売られているというのだ。
「それは見てるでしょ、景子ちゃんも」
「ああ、あれね」
「ホワイトシチューもあるでしょ」
「あるわね」
「カレーは作ったことあるわよね」
「ええ」
流石にこれはあった、景子にし
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