暁 〜小説投稿サイト〜
Verweile doch! Du bist so schon.
Verweile doch! Du bist so schon.
[6/9]
[1]
次
[9]
前
最後
最初
揺らめいて消える。そうして、近くの世界に流れつく。
かれは数多の世界を探した。数にして百ほどであろうか。数え切れないほどの時間を費やした。
そうして、また新たな世界に降り立つ。
その瞬間に彼は気づいた。
――――彼女がいる。
それは確信。あの魂の輝き、見間違うはずもない。この世界で、ようやく彼女に会える。
ついに、ついに彼女に……!
笑いが込み上げてくる。いやいけない、早いところ彼女を迎えに行かなければ。
そうして数日間歩き、悪魔はついに彼女を見つけた。
とある草原。吹き付ける風の中、彼女は小さな丘の上に立っていた。その銀髪を風に棚引かせ。
喜びのあまり、声にならない声が体から漏れ出る。
彼は思わず叫んだ。その魂に、顔に、そのすべてに見覚えがあった。本性が、魂が反射的に叫んでいた。しかしそれは、声にならず音にもならず。ただ空気が洩れるだけだけであった。
そしてそれは想いの波動となり、彼女に伝わった。
彼女が振り返る。悪魔と目が合う。視線と視線が絡まりあう。約十メートルほどの距離。
沈黙が流れる。空気が重くなりかけ。
「こんにちは。我のことを覚えているだろうか、かつてあなたに微笑んでもらった悪魔だ。そう、私はついにここまで来た。
今こそ想いを伝えたい。貴方を愛しているのだ。美しく思う。ぜひとも、私の伴侶となってほしい。華よ」
ああ、ようやっと言えた。貴女はいったいどんな反応をするのだろうか?
待ち受けるかもしれない至上の喜びを想像し、打ち震える悪魔。
それに対し彼女の反応は、実に対照的なものであった。
何も言わず、ただ冷たい視線を返す。ただそれのみである。
だが、この悪魔が今さらそんなことでめげたりすることはない。彼女に向けてその一歩を踏み出す。
それと同時に、バラの花が悪魔の周りに次々と浮かんでいく。
1本。3本。11本。50本。99本。100本。108本。365本。そして999本。
一歩。また一歩と徐々に、だが確実に距離を詰める悪魔。
そうして彼女に触れる瞬間。
「――無礼者」
彼女は上空にいた。触れようとした悪魔の右腕は、肩から先が消失している。
しかし、悪魔は笑みを浮かべる。
よかろう。あなたが望むならば、私は武力をもって貴女への愛を示すまでだ。
悪魔の背中から黒い骨のような触手が何本も生える。両手を広げ、空中に飛び上がる。
あまりにも濃密な呪詛が流れ出し、周囲の空間が根こそぎ腐っていく。
これが正真正銘の全力前回……ッ! 行くぞ、私の魂を賭け、貴女を手に入れてみせる!
彼女に向かい、飛び掛る悪魔。
本能が理性を侵食する。理性が黒く染まり、本能だけが精神を支配する。
しかし悪魔に後悔はない。すべてを賭け
[1]
次
[9]
前
最後
最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ