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Verweile doch! Du bist so schon.
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通り世界が崩壊するとまで言われている。自分程度では、かの王に触れることすら叶わないだろう。
正直に言うと、会うことすら危険だ。しかし、もう一度彼女に会うためには、何としてでも王から暇を貰わねば……。
気を引き締め、塊からどろりと抜け出す悪魔。
深い闇の中へ降り立つ。そうして、その闇と同調を図る。どこまでも深く。
彼の体が徐々に透明になってゆき、周囲の闇と同化していく。
まだだ。これではまだ足りない。もっと高純度の同調を。
もっと。もっと。もっと。もっと。もっと。もっと。もっと。もっとだ。
純度が、罪が、邪悪さが、何もかもが。体内で急速に高まっていく。
そうして極限まで圧縮され、同調の極みへ。世界の最深奥へと。
壁を、突き破れ――――ッ!
そうして悪魔は、世界の中心に辿り着く。
宇宙空間の暗黒の中で、輝く黄金の蒼炎が明かりとなる。広大な空間の、その中心。
そこに、ソレはいた。
玉座を多重に囲む、円形の魔方陣。その中で身を丸めて眠りについている。悪魔とはまた別の不定形の従者が、その周りをぐるりと囲み。そうして絶え間なく笛の音を響かせる。
気が狂いそうになる不快感が悪魔を襲う。今すぐにでも逃げ出したい気持ちをぐっと抑え、彼は叫ぶ。
「王よ! 我らが悪魔の頂点である王よ! 我が名は■■、僭越ながら貴方様に謁見を願いに来た!」
その声が届いたのであろうか。そうしてソレは目を覚ました。
魔方陣が光り、一つずつ割れていく。極大の圧迫感が世界に負担をかける。
空間が歪み、世界が修復する。そうしてその歪が不快感としてその場にいる悪魔に襲い掛かる。
目を見開き、玉座に座る王。何をしているわけでもない。ただ、目を覚ましただけである。だがしかし、その圧倒的な存在はいるだけで周囲に凶悪的な負担をかける。
現に世界は軋み、その従者はいつの間にかこの場から逃げ出している。悪魔も、気を抜けば倒れこんでしまいそうなほどである。
だがしかし、倒れるわけにはいかないと奮い立ち、さらに言葉を続ける。
「我が名は■■。僭越ながら、この旅は王に許しを請いに来た次第であります!
つきましては、諸事情により、しばしの間この世界を離れる許可を頂きたい所存であります!」
倒れそうな体を意地で支え、眼前の存在に向かって声を張り上げる。
ソレが、声を受けてギロリと悪魔に視線を向ける。重圧が増す。あまりにも強大な存在感が、悪魔を押しつぶす。
耐え切れず体を崩し、這い蹲った状態で王を見上げる悪魔。
そうしてソレは口を開き、
「――――」
紡がれたその言葉は、悪魔の魂に響いた。いや、むしろ刻み込まれたと言っても過言ではないだろう。しかも一片の容赦もなく。
だがしかし、理解はできた。
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