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Verweile doch! Du bist so schon.
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いびつに上がる口角。ぎらぎらと輝く赤き双眸。気の高ぶりと共に体中からぼこぼこと瘴気が溢れ出る。
これは……! なんと滑稽なことだ。笑わせてくれる。こんな感情は初めてだ。まさかこのような感情を抱くことになろうとはな。何と言ったか、確かやつの言葉にあったはず。
ああ、そうか。「時よ止まれ、汝はかくも美しい」だったかな。いい言葉だ。
あの女が何者かなんて関係ない。ようは、どんな手を使ってでも自分のものにすればいいのだ。それこそが俺。
ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべる悪魔。
彼女を俺の永遠の后として迎え入れよう。あの女は素晴らしい。一変の掛け値もなしに賞賛できる。俺には表現しきれないが、おそらく究極とはあういうものなのだろう。究極とはえてして陳腐なものである、等と聞いたことがあるがとんでもない。もしも究極が陳腐なものであるというのなら、それは究極を見たものが陳腐な表現しかできなかったのだろう。
人は究極を目の前にした時、自分の矮小さを真に認識できるであろう。それはこの悪魔であろうと例外ではなく。
だがしかし、それでも諦めないのがこの悪魔。諦めるということは、すなわち彼が死ぬということ。気に入ったものは手に入れる、たとえそれが何であろうと。
ならば――――。
そのためにすべきことを脳内で思考し、試行して、そして嗜好する。すべては至高へと。
さあ、まずは帰還しようか。
今度こそ自らの家へと歩みを向ける悪魔。その歩みは緩やかであるが、彼女に会う前のそれとは違う。それは欲望を脳内で噛み締めながら歩いているが故の遅さ。脳内は天国、周囲は地獄。
時間にして一時間ほどであろうか。笑みを抑えきれず、ついに立ち止まる。顔を上げるとその眼前には巨大な紫色の岩が。
ああなんだ、もうこんな所まできたのか。
小さく呟きながら、その岩に対して左手を触れる。その瞬間、その岩と悪魔の姿はその場から消え失せた。まるでその場には初めから何も存在しなかったかのように。しかし、確かにそこに悪魔は存在したのであり、腐り落ちた周囲の植物がそれを物語っていた。
数瞬の後、悪魔は先程までとはまったく異質な場所にいた。そこはどこまでも深い闇の中。地面も空もなく、ただ無機質で真っ暗な空間が広がっているだけの世界。
その世界には、無数の塊が存在していた。そう、塊である。色とりどりの不定形の塊がふよふよと浮いている。
その中で、紫と黒の混ざったような一つの塊が悪魔の目の前にあった。塊の表面には血のように赤い文字のようなものが書かれているが、それはぼやけていて正しく認識することはできないだろう。
それに悪魔は左手を触れる。右手には、先程の巨岩が張り付いているかのようについている。
赤い文字のようなものが光り、その光が悪魔の全身を包む。それと同時に塊が
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