§47 -冠を持つ王の手-
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出来るのかよ、そう言おうとして護堂は言葉を呑み込む。自分たちがデタラメなのは今に始まったことじゃない。これは常軌を逸しているとしかいいようがないが。
「そしてアレは発展系なんだと。今まで黎斗が簒奪した権能。それを核として用い、”この世とあの世の狭間”の情報を読み込ませ呪力を纏わせることでまつろわぬ神を一時的に復元する。それが、あの能力の正体。冥界の力の余波で髪が白くなって伸びたり、昔の性格が戻ったりするが些細なことだ」
サラッと重要なことを言われた気もしたが、それ以上に気になることが今の発言には入っていた。
「まつろわぬ神の、使役なのか……?」
「そうとも言う。が、従属神とはちょっと違う。元が黎斗の権能だから黎斗に完璧服従。冥界の影響下にあるからか黎斗の自我が引き継がれるからかわからんが、生前そのままの実力というか黎斗と戦った時の実力を再現した状態で従えているらしいがな」
ここで恐れが護堂を襲う。つまり、今あそこにいる神々は黎斗がかつて倒した神々。あれだけの怪物たちを彼は倒してきたのか。
「本来はアレを発動すると黎斗は権能が使えなくなるんだがな」
そう言って須佐之男命はロンギヌスを指さす。
「アレは治癒の能力を持つ。あれの能力を暴走させることで権能の修復も可能なんだとさ。臨界点付近での運用では神格レベルにまで戻せるとか」
俺にはよくわからん理屈だがな、と須佐之男命は続ける。
「で、だ。そこまでなら良い。まだわかる」
すでに「わかんねぇよ、日本語喋ってくれよ」と言わんばかりの護堂の表情。それをを正しく理解しながらも華麗に無視して須佐之男命は語る。
「大国主。ヤツは国を譲った神だ」
いきなり変わった話題に護堂は面喰う。それが今の流れと関係あるのだろうか?
「つまり、神格を譲ることも出来る」
国譲りだけでなくその決定権も最初は息子に役割譲ってたしな、と言葉を続ける。
「だからなんだよ……」
国譲ったからって神格譲るのは有りなのか?と思わなくもないがここで水を刺しはしない。同族と違って自分は空気を読めるのだ。
「次にシャマシュ。ヤツの能力、なんだと思う?」
また話題がガラリと変わった。ツッコミたいのは山々だが、興味のある話題だったので敢てのって護堂は推測を述べる。思い浮かぶのは、「目には目を」で有名なハンムラビ法典だ。
「カウンター……だと思う。自分が受けたことを相手に返す能力」
「その通り、だ。黎斗が使っている内はな」
「……え?」
今とてつもなく不吉な言葉が聞こえたような、気がする。
「まぁ、黎斗曰く本気で使っている場合は裁判、らしいぞ。日本の政治に例えれば法律が決まっている状況でこちらに裁判官が居る
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