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魔王の友を持つ魔王
§47 -冠を持つ王の手-
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倒と槍を全力回避する稲妻、という奇妙な光景が目撃される。今の所全弾回避に成功しているのはアレクと斉天大聖、アテナ、ペルセウス位のものだ。つまり飛行能力を持つもののみ。空を飛べない者達は、足場の悪さも相まって連弾する猛攻を捌ききれない。

「嗚呼。足場無くてやりにくいか。――迦具土」

 そして、それに目をつけない黎斗では無い。空間断絶で作り上げたらしい足場の上で、白く変色した髪をなびかせて黎斗が嗤う。

「うらぁ!!」

 迦具土が、吼えた。耳をつんざく轟音が鳴り響き、大地が鳴動する。ペガサスの真下から、溶岩が凄まじい勢いで噴出する。

「――!!?」

 回避も防御も、間に合わない。溶岩を大量に吹き飛ばし、大海原に火山が一つ、完成する。それほど大きなものではないが、ビル一つくらいの高さはあるような、そんな大きさで。

「何!!」

 とっさにペガサスは敬愛する主を振り落とす。それが、ペルセウスの命を救った。

「ペガサス――!!」

 ペルセウスが宙に飛ばされた直後、無慈悲なマグマの噴出が、ペガサスを呑み込み焼き尽くす。絶叫した瞬間に、天から落ちた巨大な槍が、背中を貫く。抵抗すら許されぬまま、灰へと還る愛馬の姿に、主は憤怒の形相を浮かべる。

「貴様!!」

 全身が焼けつく様に熱い。ペガサスが焼き尽くされた影響なのだろうが、今の彼にはそのような事を理解できる余裕は無い。眼前の白髪の男を倒す。彼の中にあるのはそれだけだ。愛馬の仇を、とる。

「うおお!!」

 神速染みた速度で宙を疾走し黎斗に迫る悪鬼の化身は、

「なんだ……? なんだこれはッ!?」

 黎斗まであと数メートル、というところで破滅の呪鎖(グレイプニール)に絡め取られる。絶対的な拘束を前に、渾身の力を出しても微動だに出来ない事実を前に。されど東方より来た男(ペルセウス)の瞳に諦めは無い。

「小癪、な……!!」

 引きちぎろうと抵抗する彼を助ける為か、はたまた黎斗の首を切り落とそうとしてか、銀の斬撃が飛来して、空間の壁に遮断される。

「!!」

「無駄だ、ドニ。全力ならともかく、片手間に放つような今の一撃程度では分かたれた壁は貫けない」

 淡々と事実を告げるかのごとく、ペルセウスを見つめながら黎斗は言う。彼の左目が不吉に輝く。原始的な恐怖を呼び起こす。

「この程」

 ペルセウスの言葉は最後まで続かなかった。黎斗の左目から放たれた一条の熱線が彼を焼き尽くす。頭蓋を閃光が貫通し、鋼の英雄は消滅した。




●●●




「なん、だよコレッ……!!」

 秋なのに炬燵に蜜柑そして酒、という聊か以上に場違いな環境で須佐之男命、ヴォバン侯爵と水盆を眺めていた護堂だが、と
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