§47 -冠を持つ王の手-
[3/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
倒と槍を全力回避する稲妻、という奇妙な光景が目撃される。今の所全弾回避に成功しているのはアレクと斉天大聖、アテナ、ペルセウス位のものだ。つまり飛行能力を持つもののみ。空を飛べない者達は、足場の悪さも相まって連弾する猛攻を捌ききれない。
「嗚呼。足場無くてやりにくいか。――迦具土」
そして、それに目をつけない黎斗では無い。空間断絶で作り上げたらしい足場の上で、白く変色した髪をなびかせて黎斗が嗤う。
「うらぁ!!」
迦具土が、吼えた。耳をつんざく轟音が鳴り響き、大地が鳴動する。ペガサスの真下から、溶岩が凄まじい勢いで噴出する。
「――!!?」
回避も防御も、間に合わない。溶岩を大量に吹き飛ばし、大海原に火山が一つ、完成する。それほど大きなものではないが、ビル一つくらいの高さはあるような、そんな大きさで。
「何!!」
とっさにペガサスは敬愛する主を振り落とす。それが、ペルセウスの命を救った。
「ペガサス――!!」
ペルセウスが宙に飛ばされた直後、無慈悲なマグマの噴出が、ペガサスを呑み込み焼き尽くす。絶叫した瞬間に、天から落ちた巨大な槍が、背中を貫く。抵抗すら許されぬまま、灰へと還る愛馬の姿に、主は憤怒の形相を浮かべる。
「貴様!!」
全身が焼けつく様に熱い。ペガサスが焼き尽くされた影響なのだろうが、今の彼にはそのような事を理解できる余裕は無い。眼前の白髪の男を倒す。彼の中にあるのはそれだけだ。愛馬の仇を、とる。
「うおお!!」
神速染みた速度で宙を疾走し黎斗に迫る悪鬼の化身は、
「なんだ……? なんだこれはッ!?」
黎斗まであと数メートル、というところで破滅の呪鎖に絡め取られる。絶対的な拘束を前に、渾身の力を出しても微動だに出来ない事実を前に。されど東方より来た男の瞳に諦めは無い。
「小癪、な……!!」
引きちぎろうと抵抗する彼を助ける為か、はたまた黎斗の首を切り落とそうとしてか、銀の斬撃が飛来して、空間の壁に遮断される。
「!!」
「無駄だ、ドニ。全力ならともかく、片手間に放つような今の一撃程度では分かたれた壁は貫けない」
淡々と事実を告げるかのごとく、ペルセウスを見つめながら黎斗は言う。彼の左目が不吉に輝く。原始的な恐怖を呼び起こす。
「この程」
ペルセウスの言葉は最後まで続かなかった。黎斗の左目から放たれた一条の熱線が彼を焼き尽くす。頭蓋を閃光が貫通し、鋼の英雄は消滅した。
●●●
「なん、だよコレッ……!!」
秋なのに炬燵に蜜柑そして酒、という聊か以上に場違いな環境で須佐之男命、ヴォバン侯爵と水盆を眺めていた護堂だが、と
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ