第十五話 狂乱の始まり
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あれからどれだけの時間経ったかは分からない。
私は遺跡のようなエリアで狩りを続けていた。
「うん、威力も切れ味も申し分無し」
リズに鍛え直して貰ったレイピアは、私の手にしっかりと馴染み、性能も段違いに上がっていた。
そのおかげで、私は今まで以上にスムーズに敵を倒す事が出来た。
だけど、私の心には何故か靄がかかっている。
原因は分かってる。
アーチャーの事だ。
確かに彼は私の事をいつも心配してくれている。
戦闘でも私の事をしっかりとサポートしてくれているし、頼りにしている。
今日の事もそうだ。
私を心配してくれての行動なのだと思う。
だけど、それは私の事を過小評価しているのではないかと思ってしまった。
アーチャーが私の事を気にかけているのは、遠まわしに私が弱いと言っているように感じてしまう。
アーチャーがあの時私を気にかけて引き止めたのも、私には無理だと言っているように思ってしまった。
「……別に貴方が居なくたって、私は充分戦える」
私はそう呟き、我武者羅に目の前にいるモンスター達を切り捨てた。
私は全プレイヤーの中でも、トップクラスに入る実力を持ってる。
攻略組でも、一目おかれる存在だ。
大丈夫。
私はそう自分に言い聞かし、目の前のモンスターを狩る事に専念した。
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「こんな時間に一人で出歩くとはな…。どうやら、彼女はまだ自分の置かれている立場が分かっていないらしい」
「ふむ、ではどうする。奴はまぎれも無くアーチャーのマスター。ここで打ち殺すか?」
「まあ待て。そう簡単に殺しても味気ない。此処は一つ、隠れ見ている奴に譲ってやろう」
「呵々々、何とも貴様らしくもない。だが、その前に死なれたらどうする」
「ククク、気にする事も無い。そうなれば、その程度の存在でしかなかったわけだ」
「では、しばらくは傍観か」
「ああ、此処は彼らの実力を見るだけだ」
「何とも消極的なマスターだ。まあ現状、儂は特に不満はないがな」
「ならば今は見ておけ。そのうち活躍の場をやろう。それまでは動くな。アサシン」
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あれから1時間ぐらい経っただろうか。
私はほとんど休みなしで出てくるモンスターを倒していた。
新しい武器も私の手に馴染み、そう簡単には刃毀れもしない。
私は気分よく狩りを続ける事が出来た。
だけど、それは唐突に訪れる。
急にモンスターの出現が止まり、不気味なほど辺りが静かになった。
そして、まわりは妙な霧に辺りが包まれ始めていた。
「何なの…一体」
静けさの中に私の声だけが響いた。
周りを見渡すが、霧のせいか1
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