第三十七話 護衛任務
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ーマイヤー、ワーレン提督。左側にケンプ、ルッツ提督。そして中央には輸送部隊が有る。これほどまでに厳重に守られた輸送部隊は無いだろう。
「ロイエンタール艦隊より入電、後方の正体不明の艦隊は反乱軍で有る事を確認! 兵力、一個艦隊、約一万五千! 距離、約二百光秒!」
三十分程で報告が来た。一個艦隊、こっちが圧倒的に有利だ。どうする、反乱軍、向かってくるのか? 返り討ちにしてやる!
「やはり来ましたな」
「そうですね、もう少し早いかと思いましたが……」
「さて、どうなるか」
メルカッツ参謀長と頭領が話している。凄いや、二人ともまるで緊張していないし興奮もしていない。僕、まるで馬鹿みたいだ。少し落ち着かないと。
どのくらい時間が経ったのか、十分? 二十分? オペレータがまた報告をした。
「ロイエンタール艦隊より入電! 戦艦ヒューベリオンを確認!」
なんだろう、皆凄く緊張している。頭領に視線が集中している。
「距離を確認してください、縮まっていますか?」
メルカッツ参謀長がオペレーターに確認を命じると少しして縮まっていないとオペレーターが答えた。
「やはりそうですか、……挑発ですね」
「そのようですな」
え、挑発? 頭領と参謀長の言葉に皆の顔を見たけど誰も驚いていない。皆も挑発だって分かってたんだ。
「全艦に命令してください。現状を維持しつつ周囲を警戒するようにと」
「全艦に命令、現状を維持しつつ周囲を警戒せよ」
「総司令部に平文で通信、護衛艦隊は自由惑星同盟軍と接触セリ。同盟軍は第十三艦隊と認ム。なお、未確認ながら敵には増援が有る模様」
平文? 暗号を使わないの? 反乱軍にも知られちゃうけど良いのかな。それに第十三艦隊? 増援? なんで分かったんだろう。
通信が終わって二十分もすると反乱軍は居なくなった。意気地の無い奴。でも頭領が第一級臨戦態勢を解除したのはそれから六時間後だった。何かちょっと変な感じだった。反乱軍は攻めてこないし、頭領も臨戦態勢を執るだけで何もしなかった。良いのかな、反乱軍を逃がしちゃって……。
不思議がっている僕に謎解きをしてくれたのは作戦参謀のクリンスマン少佐だった。戦艦ヒューベリオンは反乱軍の名将、ヤン提督の旗艦でロイエンタール提督は相手はヤン提督が率いる第十三艦隊だと報告してきたんだって。頭領はきちんとそれを理解した。もしかするとロイエンタール提督は頭領を試したのかもしれないよって。
はあって思った。クリンスマン少佐は人の悪い笑みを浮かべている。味方同士でも相手を試すなんて事が有るんだ。でもますます分からない。
「良いんですか、逃がしちゃって?」
「大事なのは輸送部隊をウルヴァシーへ届ける事だ。そうなれば帝国軍は一年間戦える。だからどの司令官も戦いたいと言ってこ
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