第三十七話 護衛任務
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う。或いは反逆と決めつけて攻撃するか……」
「なるほど、有り得るな。地球教か……」
「地球教だけとは限らないがな」
「……」
「上に立つものは無用な危険を冒すべきではない、そう言ったらしい。まあそれがきっかけで頭領と公は位置を交換したんだが……」
「それを不満と取ったか」
ワーレン提督が左腕を摩っている。彼は地球教討伐で左腕の肘から下を失った。地球教の恐ろしさ、厭らしさを思い出しているのかもしれない。
「それとフェザーンで新年のパーティを開いたのだが黒姫の頭領はパーティが始まると直ぐに帰ってしまった。ローエングラム公に挨拶無しでな」
「……」
「まあ頭領は酒が飲めないしパーティは余り好きではないらしい。引き留められてはかなわんと挨拶はしなかったらしいが……」
ワーレン提督が妙な顔で俺を見ている。
「それで不満を持っていると?」
「まあそうだ。馬鹿馬鹿しいだろう?」
「話にならん……」
呆れた様なワーレン提督の表情に思わず失笑した。
「面白くないのさ、頭領なしでは我々はここまで来られなかった。その事は皆が理解している。イゼルローン要塞もフェザーンも頭領が落とした。この遠征そのものが頭領の御膳立てによるものだ」
「うむ……」
「おまけに頭領は今回の遠征、勝ち戦なら前に出ない、負けそうになったら出ると言っている。これだけ圧倒的な戦力差が有って負けるとはどういう事か、自分達を、ローエングラム公を馬鹿にしているのかと不満に思っている者も多い……」
「……若い連中か……」
「うむ」
この宇宙から戦争が終わりかけている。その事で若い士官達の間で焦りが生まれている。戦争が無くなれば昇進の機会は無くなる。武勲を挙げ地位を上げたいと考えている彼らにとって今回の遠征は最後のチャンスだろう。そんな時に頭領に負けそうになったら出ると言われた……。
お前達で勝てるのか? 武勲を挙げることが出来るのか? 揶揄されていると思ったとしてもおかしくは無い。それでなくとも武勲では到底頭領に及ばないのだ。その事も彼らの気持ちを複雑にさせている。我らでさえなかなか受け入れることが出来なかったのだ。若く焦りのある彼らにとってはさらに受け入れがたい現実だろう。
「実際どうなのかな、今度の護衛、頭領が指揮を執るという事は帝国軍は負けそうという事かな」
ワーレン提督が困惑を浮かべながら問いかけてきた。
「さて、……少なくとも勝っているとは言えまい。そうではないか、ワーレン提督」
「うむ、……確かに言えんな」
ワーレン提督が右手を顎に当てている。
「補給を守り抜いてようやく五分以上だろう、失えば……」
「短期決戦を強いられるか……。負けるとは思わんが我らにとっては面白くない状況が発生するな。頭領が前に出ると言うわけだ…
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