Mission
Mission9 アリアドネ
(3) クランスピア社正面玄関前~チャージブル大通り~クランスピア社正面玄関前 A
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ティは、ルドガーとミラさんの子なんだよね?」
「違うよ?」
「だよね……ってあれ!? だ、だって、クルスニク、って、え、ええっ?」
横でエルも、顔文字みたく丸目四角口でショックを受けている。可愛い。幼さと身内の欲目を引いても可愛い。ルドガーが羨ましい。
「そう勘違いさせれば、あの二人が腹を割って話す口実になると思って」
「えー……」
「ユティ……ワルだね」
「ナァ〜」
「そうよ。ユースティアは性悪。今頃気づいたの?」
呆れるジュードとエルを、斜め下から見上げるようにふり返った。
「まあ、わざわざあそこまでする必要があったかは、ワタシ自身も疑問。ただ、彼は不気味なくらい簡単に自分をなげうつ。まるで絶壁の綱渡りに迷いなく踏み出すような。だから、そうできなくなってもらおうかと思って」
「ええっと。それって要するに、ルドガーに自分を大事にしてほしいってこと? ミラさんとの仲を後押ししたのは、ルドガーがもっと慎重になってくれるように、大事な人を作ってもらおうとしたの?」
「正解」
父からの言いつけにあそこまでは含まれていなかったが、ユティが教わった過去の出来事だけでは、ルドガーは兄以上に大事なものを作らなかった。
憎ませるのは簡単だが、愛させるのも簡単。ミラをターゲットにしたのは、だから。
「ただね、愛は別れない理由にはならないの。ジュードはよく知ってる、でしょう?」
ジュードははっとし、胸の中心を握った。おそらくは、そこに提げているペンダントを。
「ルドガーがどんなにエルやミラとの仲を深めても、ルドガーがそれに執着しないんじゃ意味はない。愛に執着がないのは、この世に未練がないのに似てて、危うい」
ルドガーを死なせないため、ユティは今日まで叶う限りの手を打ったつもりだ。手数の内、どれが当たりでどれが外れかまでは心を覗けないユティには分からない。――結局、最後の判断はルドガー次第なのだ。
「エル。エルはルドガーのアイボーよね」
「うん」
「ジュード。アナタはルドガーの友達?」
「もちろんだよ」
「なら二人とも、この先ルドガーがどうしようもなくなったら味方、してあげて。ワタシ一人じゃ役者不足だわ」
「――約束するよ。友達、だからね」
「エルも! エルはルドガーのアイボーだもん」
「ナァ〜!」
ユティは肯き返した。――天秤の皿に載せる重りは多ければ多いほどいい。数こそ力だ。ミラがいる、エルがいる、ジュードがいる。その認識はルドガー・ウィル・クルスニクを無意識下で縛り、父が望んだ選択肢へとより近づける。
(とーさまはただ弟を守ることだけを願ってた。ルドガーにどうしろなんて言わなかった。これはユースティアからとーさまへのプレゼント。とーさまが欲しがった結末を、ワ
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