第二章 Alea jacta est ―災厄の乙女―
1 「東雲の風」
[4/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
りから旧大陸から新大陸に渡ってきたって、一時期噂になってました!」
リーゼロッテが高く声をあげた。
真砂はにこにこ「光栄ですわ」と笑った。
「ふふ。この子達はうちの団員でして。左から<舞手>の天満 雪路、天満 汀とその双子の弟であり<唄い手>の天満 岬、そして楽団医の望月 菖蒲ですわ。他にあと20名ほど団員がいるのですが、現在別行動をとっておりましてここには居りませんの。
……凪さんがお世話になっているようで、感謝致します」
「いえ、そんな。お世話になってるのはこ、こちらのほうですから…!」
「あ、あたしたちナギ…さん、に、弓や剣を教えてもら…頂いてるんです」
「あら、そうでございましたか。今見たところ礼のやり方は忘れていないようなので安心いたしましたわ」
「は……あ、リ、リーゼロッテ・マインです! じゅ、16歳です! よろしくお願いします!」
「エリザ・ヴェローナです。この子と同い年です。よろしくお願いします」
「……ナギ・カームゲイルと名乗っています」
「そうですか」
気まずい雰囲気。
それを見事に打ち砕いてくれる猫が、エリザの家に乱入してきた。真っ黒な隠密の毛の彼女は、既にマタタビに酔っているようで、見慣れない顔がいることは気にも止めず、大声でナギを呼んだ。
「旦那ぁ〜! 宴が始まるニャ〜。早く食べたいニャ、来るのニャ!」
「先食ってていいって言っただろ、ルイーズ」
「旦那がいニャいと食べる気にニャらニャいのニャ〜」
「はぁ…やれやれ」
すりすりと首に巻きついて早く早くとせがむ愛猫の首を撫でると、ゴロゴロと喉を鳴らすルイーズに目を細め、音もなく立ち上がった。
「とりあえず、皆さん。準備が出来たようですし、食事にしませんか」
「うん! 私兄ちゃの隣り〜♪」
「ちょ、待ちなさいよ! 左隣りは兎も角、右隣はあたしの席!」
「知ったこっちゃなーい!」
「こら、みー! あんまり騒いだら失礼だろ…!」
うさぎのように飛び跳ねながら家を出ていく汀を、エリザが追いかける。足取り軽く石畳を駆け下りていく双子の姉に、岬が慌てたように後を追った。ぽかんと見送ったリーゼもわたわたと立ち上がって、ぺこぺこと真砂やナギに頭を下げて家を出ていく。
「ったく、あのガキ共は……」
家に来た時と同様に騒がしく去っていった年下組のあとに、ゆったりと菖蒲も家を出た。ぼりぼりと頭を掻く様子はいかにも面倒くさげだが、ああ見えて実は面倒見がいい性格であるというのは、ナギは昔から知っている。
その場に残ったのは微笑を湛えてそれらを見送った真砂と、凪。
「…本当に、お久しぶりですね。凪さん」
「はい。真砂さんもお元
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ