第三十一話 少年期M
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ためだったのではないか、とポジティブにすら考えられる。ゲイズは利用できるものは利用する、それなりに強かな性格だった。
「あ…、すいません。そうだったんですか。……それはそれとして、副官さんならどんなバリアジャケットが着たいですか?」
「お前ふてぶてしすぎるだろ!?」
こんな面白そうなこと見逃しません、とアルヴィンの目が訴えている。もはや目的が完全に変わっている。さすがに不本意ながらも弄られ続けてきたゲイズは、それを瞬時に見抜いた。絶対に口は割らないぞ、と確固たる意志を見せる。
「こんなこともあろうかと、ゲイズ用のデザインを暇つぶしに考えたことがあってのぉ。ほれ、儂が作ったデザインとゲイズの写真を合成して映像化すると――」
「他に暇をつぶせるものはなかったのですか!? その無駄なクオリティの高さを別に使ってください!!」
「あ、おじいちゃん。これヘソだしルックとかにでき――」
「お前は順応早すぎるだろうが!!」
******
ケースA 開発チームの場合
「あら、アル君じゃない。久しぶりね」
「ん、坊やか。元気そうでなによりだ」
「こんにちは、同僚さん。強者さん」
アルヴィンの挨拶に相変わらずのようだな、と男性は口元に笑みを浮かべる。アルヴィンが次にやってきたのは、春から母親を含め、開発チームのみんなが働く仕事場の休憩室。
地上本部をさよならした後、通信で時間が取れるかを聞いてみたところ、丁度休憩中とのことだったのでお邪魔することにしたのだ。2人は仕事内容の打ち合わせと顔合わせのために、ここに来ていたらしい。
「確かミッドを守るための開発をするんですよね」
「えぇ、そうよ。地上本部と連携しながら作っていくことになるわ。それに我らがリーダーから具体案も出されているし、春から忙しくなるわね」
「母さんから?」
本来の歴史ではプレシアはミッドチルダを追放されている。一緒にいた開発チームも事故の責任を取らされ、仕事を追われた者や信頼を落としてしまった者もいた。そんな暗い未来から、地上部隊が救い出してくれたのだ。すぐにでも恩に報いたいと、開発チームの誰もが精力的に働いている。
嬉しそうな同僚さんの様子にアルヴィンはホッと息を吐く。ヒュードラの開発の時はかなりやつれていたから、なんだかんだで心配していたのだ。あの頃は暗黒面がよく「こんにちは」をしていたが、本来はちょっと暴走気味なだけだとたぶん思われる女性なのだから。
「ところで、バリアジャケットの案について相談にのって欲しいんですけど……」
近況報告やおしゃべりも終わり、アルヴィンは目的を口にする。それに目の前の2人は顔を見合わせる。そして男性は考えるように腕を組み、女性はキラキラした目で見つめてく
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