第参話 《第一層ボス攻略戦》〜中編〜
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だったが、今回の正規版では五体と大幅に増えている。しかしコボルドロードには大した改変はされていないらしく、本隊のパーティーに苦戦している印象は無い。
「……っとぉ!」
シキに向かって振るわれた片手剣を上体を大きく反らして躱す。
センチネルが僅かに硬直した一瞬に片手剣を持つ右腕の線を断ち、顔面を上下分割するかのように横に向かって書かれた線を切り裂く。短い間を置いてセンチネルが爆散する。
「グルウオオオォォッ!」
苦痛の雄叫びを挙げ、コボルドロードの四段のHPバーの一本目が全損する。それと共に新たなセンチネルが五体現れる。
「キリがないな……」
小さな舌打ちを打って、シンはセンチネルを殴りつける。
入れ替わりにチルノが赤い大剣を振り下ろし、センチネルにトドメをさす。
「確かにな。まぁ、こっちもキツイってわけでもないが」
シンの呟きにシキはそんな台詞を返す。
更にキリトとの連携でアスナの細剣がセンチネルの喉元を正確に捉えた。
「グオオオルルルゥゥッ!」
シキ達から離れた部屋の奥からコボルドロードの叫び声が聞こえてくる。二段目のバーが消え、更にセンチネルが追加。
「ちっ、多いっての」
そんな風に悪態をついて、シキはセンチネルに飛び掛った。
○●◎
「…………」
シキ達が戦っている様子を微笑しながら見ている、一人の男がいた。
ほっそりした体躯、顔は端正で金髪に糸目、そしていかにも暑そうな濃い紫のマントと同色の劇役者のような衣服を纏っている。
「…………おや?」
ぴくりと金の眉を動かし、その目を闖入者へと向ける。
そこには、あの真っ白い部屋にいた白衣の男がいた。
「…………」
「何の用かね? いや、君が私に会いに来る理由は限られているが」
微笑を崩さず、劇役者のような男はともあれ、と芝居がかった動作でお辞儀する。
「ここに来たことは歓迎しよう。私は基本的に他者に頼られない生き方をしているものでね。どうも会話というものに飢えているのだ」
「アレは使えるか?」
不躾ともとれるその質問だが、劇役者風の男は顔色一つ変えずに頷いた。
「成程、つまりはこういうことかね? 私の手を借りたい、と」
「その通りだ」
間髪入れずに頷く。
「……ふふ」
口元を押さえて笑う劇役者風の男。
「何か?」
「いや、君がそこまで素直だと何か違和感がね」
くっくっ、と笑う劇役者風の男を尻目に、白衣の男は小さく溜息をつく。
「(……この男は扱い難いのが玉にキズだな)」
「さて、と。では――」
劇役者風の男は口元に凄絶な笑みを浮かべ、大きく天を受け入れるかのように腕を広げ、宣言した。
「――開幕といこう」
○●◎
シキは違和感とも言える何かを感じ、身体ごと反転させ振り向いた
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