暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 弾かれ者たちの円舞曲
第参話 《第一層ボス攻略戦》〜中編〜
[1/6]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
「よう、シキ」
誰だ、お前……?
「お前は俺を知らねえよ。俺はお前を知っているがな」
で、何の用だ。
「何の用もないさ。ただ、俺はお前に言っておかなきゃいけないことがあってね」
言っておかなきゃいけないこと?
「ああそうさ。ちょっと忠告にな。……話は変わるが、お前自分の起源ってものについて考えたことがあるか?」
無い。
「だろうな。俺はあるが、まぁ、今そんなことはどうでもいい」
結局何が言いたいんだ。
「そうだな……。起源ってのはそいつの根本に住んでるもので、そいつを『そいつ』として形作ってるものだ」
それで?
「お前の起源は最も注意が必要なもので、言っちまうと『殺意』だ」
殺意、だと?
「そう、殺意だ。お前は根本的な所で人を殺したいと思っている。だが、それを必死に理性で押さえつけてる。……違うか?」
…………。
「図星みたいだな。まぁ、言いたいことはそれだけだ」
……まえ。
「ん?」
お前は、何だ。
「俺か? ……そうだな。名前はまだ無いが、敢えて名乗るなら、我、(かげ)(なり)、故に『影也(かげや)』とでも名乗ろうか」
影也……?
「……じゃあな、シキ。もう二度と会えないことを祈ってるよ。……互いの為にな」
名前なんて聞いてない! お前は――――。

      ○●◎

「ん………」
窓から流れこむ陽光を恨めしく思いながらも、目を開き身体を起こす。
寝ぼけたふらふらした足取りで部屋から出、部屋のある二階から一階へと降りて洗面所へ行く。
ばしゃ、何度か顔に半透明の水を叩きつけ、手元にオブジェクト化させてあったタオルで顔を拭く。因みにこのタオルはどの部屋にも必ず一つは置いてあり、宿屋から持ち出すと自動的に元あった場所に戻る仕組みとなっている。
「…………?」
違和感を感じ、顔を上げて鏡を見る。
鏡そのものに書かれた線も、そこに映っているシキの顔も、シキに書かれた線も変わらない。だが……。
「何か、変だ」
鏡に映った自身の顔を指でなぞって呟いた。
鏡に書かれた線も指でなぞっていく内、違和感の正体を掴んだ。
「線の途中に、点が……?」
違和感の正体は、点だった。
点は鏡に書かれた線の途中途中にあり、その大きさも大小様々だった。
「……まぁいいか。それより今は――ボスとの戦いに集中した方がいいな」
右手を軽く振ってウインドウを呼び出し、いつもの黒一色の布装備を身に纏う。視界の端の時計を見、時間がまだ残っていることを確認し部屋へ戻るべく洗面所から出た。
「うん……?」
部屋に戻ると、いつの間にか支度を終え窓の脇の椅子に腰掛け本を読んでいるシンがいた。
「起きてたのか」
「起きたのは今さっきだ。お前こそ、時間までまだ余裕あるじゃないか」
本を閉じて、シキを視界に入れた。

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ