第百二十六話 溝その十六
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
「では別のやり方で」
「操る他にも仕方はある。そうじゃな」
ふと気付いた感じだった、中央の声の調子が楽しげなものになった。
「争わせるのもよいかもな」
「織田と本願寺をですか」
「双方を」
「うむ、共に我等の敵」
そうだというのだ。
「ならばその双方を争わせるのじゃ」
「二虎競食ですか」
「そうさせますか」
「己を狙う虎が二匹おればその二匹を争わせればよい」
三国志演義にある計略だ、それを使うというのだ。
「夷を以て夷を制するじゃ」
「では本願寺にも仕掛けますか」
「そして織田にも」
「双方が争い共倒れになればよい」
彼等にとって非常によいというのだ。闇の中でこうした言葉が出た。
そのうえでだった、まずは。
「織田と本願寺は大掛かりじゃから時がかかる」
「しかし浅井はですな」
「あの家には」
「すぐに仕掛けられる、ではな」
「はい、それでは」
「すぐにでも」
闇の中で頷く声がした、そうして。
闇の中でまた邪な笑い声が響いた。戦国の戦乱の中で相変わらず何者かが蠢き企みを続けているのだった。
第百二十六話 完
2013・2・22
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ