第八章 望郷の小夜曲
第六話 変わらないもの
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となく士郎の前で一回転し、そのまま士郎に斬りかかる。士郎はセイバーの斬撃を逸らした形のまま、迫り来る剣を見る。防げないことはない。重心に乱れはなく、手に持つ双剣で迫る長剣を受け止めることが出来る。しかし、剣を合わせることなく、士郎は地を蹴りその場から離れた。
先程まで自分がいた空間を、長剣が切り裂くのを横目に見ながら、士郎は地面を転がりセイバーから距離を取る。
「シロオオオッ!!」
「ちょ、まっ?!」
転がりながらも立ち上がった士郎の目の前には、既に剣を大上段に構えたセイバーの姿が。士郎は手に持つ双剣でそれに相対することなく、またも地を蹴り後方に飛び退く。
「ちっ」
「セイバー!! 今「ちっ」て言っただろ!? 今の止める気絶対なかっただろ!!」
剣を振り下ろした姿で、セイバーはジロリと士郎を睨み付ける。
「イエ、チャントトメルキデシタ」
「嘘だッ!! 今の絶対に止め―――うおッ!!?」
「くそッ」
「セイバアアアアぁぁっっ!!?」
右手に持つ白剣を突きつけながら抗議の声を上げるが、それを無視しセイバーが襲いかかってきた。斬りかかってきたセイバーの斬撃をまたも士郎は転がり避けるが、急いで立ち上がると背中に巨木が当たり、額に汗が浮かぶ。
お、追い詰められた。
ごくりと喉を鳴らす。
剣を振り下ろした姿から、ゆっくりと顔を上げ木に背を付ける士郎を睨めつけるセイバーに両手を突き出し、士郎は引きつった顔で顔を左右に振る。
「セイバー……た、頼むから落ち着いてくれ。お、俺の負けだ。だから剣を下ろしてくれないか」
「―――情けないですねシロウ。その手に持っているものは飾りですか? さあ、構えなさい」
濡れたように光る刀身を突きつけられる。
「―――腑抜けたその精神……鍛え直してあげます」
「いや、だからあれは違うんだっ―――」
「―――……あれとは関係ありません」
剣を振りかぶり迫るセイバー。
右!?
左!?
それとも上か!?
刹那も及ばない一瞬の思考の後、右から空間さえ切り裂きながら剣が迫って来る。地を蹴り逃げる時間もなく、咄嗟に手に持つ双剣を重ね、迫る凶器を防ごうとする―――が、
「―――っう、嘘だろっ!?」
ランクは低いが、宝具の一席に座す黒と白の双剣―――干将と莫耶を切り裂きながら、セイバーが振るう長剣が迫る。咄嗟に手に持つ双剣から手を離ししゃがみ込む。髪の先を数ミリ切り飛ばしながら、長剣が頭上を通過するのを確認するとそのまま背後に飛ぶ。
一拍おいて轟音を響かせながら倒れ込む巨木の上に乗った士郎は、全身に流れる冷や汗で身体が冷え込みブルリと震わした。
「……干将莫耶を切り裂く―――ははっ……我
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