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鋼殻のレギオス 三人目の赤ん坊になりま……ゑ?
第一章 グレンダン編
道化師は手の中で踊る
別れは唐突に
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 再生治療とかできなかったのか?」
 シキはもっともらしいことを言う。
 都市の再生治療、つまりは無くなった体の一部を文字通り再生させる医療技術のことだ。これさえあれば、例え腕を失っても、足を失ってももう一度再生することができるのだ。もちろん、体の臓器などもだ。
 いちいち治すよりも、ぶった切って新しい腕をつけたほうが早い場合もある。
「趣味さ」
「趣味ぃ!?」
 猫は笑いをこらえながらシキにそう言った。
 趣味で左腕を義手にされたのかとシキは気落ちする。
「安心しろ、生半可な義手じゃないさ。アルケミストとしてのわたしの技術全てを結集して作ったものだ。あんたの馬鹿みたいな剄力すら受け止めるよ」
「……あぁ、なんかまた人間止めた気がする」
 シキはドヤ顔しながら、背筋をピンとした猫に殺意を覚える。
 だが、シキは諦めたようにため息を吐く。もう自分の身体に突っ込むことには飽きた。
「後はアフターサービスだね。あんたの持ってる錬金鋼を新調したよ、ほらこれさ」
 と言って、猫が指差した方向を見ると、隣の席にポツンとシキの剣帯が落ちていた。
 シキは席を立って、それを取る。
「あれ? 一つ増えてる?」
「サービスとして、弓をつけた。あんたなら使いこなせるんだろう? 全部、新調してあんたの剄にある程度対応出来るようにしておいた」
「おいおい、俺の錬金鋼って特注品で結構性能いいはずなんだけど?」
「天剣よりワンランク下だが、十分だろ?」
 それを聞いて、シキは目眩がしてきた。
 天剣より性能が低いのはわかったが、それでも最高水準を遥かに突破した物だとわかる。それが十二個あるのだ、オーバーテクノロジーすぎて笑えない。
「言いたいことはたっぷりありそうだけど、わたしも暇じゃない」
「……あんた、何者だよ」
 猫はシキの方を向いて、クスリと笑ってからこういった。
「この世界を創った者さ」
「創った?」
「そうさ、私の名前は……」
 エルミ・リグザリオ。
 コレが最後のアルケミスト、エルミ・リグザリオとただの武芸者、シキ・マーフェスの最初の邂逅であった。

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