第一章 グレンダン編
道化師は手の中で踊る
別れは唐突に
[1/13]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
サヴァリスは湧き上がる歓喜の気持ちを抑えきれなかった。
そのせいで、今も空中コンボを決められている老生体が死にかけているが、サヴァリスは気にしない。
サヴァリスの頭の中は、シキでいっぱいだった。
(いいじゃないか。片腕が無くなって弱くなるどころか、剄がさらに強くなってる)
実は、錬金鋼を使わない無手だったからアレだけの剄を出せたのだ。もちろん、シキの剄力が以前よりも上がっているのも原因だが。
だからこそ、戦闘狂と評されるサヴァリスにとっては最高に嬉しい。
ただでさえ、圧倒的な剄力で経験という壁を楽々飛び越えてくるというのに、限界を知らないかのようにさらに壁を越える。サヴァリスでも、背筋が寒くなる。
一体どこまで強くなるのか、と。
まだ痛む体だったが、強い相手と戦えるという事実に、サヴァリスの気力は最高潮を更新していた。……だが。
「弱いですね。肩透かしにもほどがある」
つまらなそうに、サヴァリスはもはやサンドバックと成り果てた老生体に言う。
老生体は掠れた声で鳴き声を上げるだけで、身動きひとつ取らない。
再生能力が高いと評判の老生体だったが、この個体は再生能力はそれほどでもない、あくまでも老生体というカテゴリーに限る、が。
しかし、単体という戦闘で最強クラスのサヴァリスと戦うには役不足すぎた。
「まったく、わざわざ援護せず観戦したほうがよかったかもしれませんね」
やれやれ、と言ったふうに首を振るサヴァリスだったが、攻撃の手を緩めることはしない。しかし、少々飽きたのも事実だった。
「一気に決めましょう。ルッケンスの中でもとびきり派手な技ですよ」
次の瞬間、老生体は暴力の嵐から解放された。
老生体は力なく重力に引っ張られて、地面に落ちていく。このままなら地面に叩きつけられて終わりだが、そんな甘いことをサヴァリスがするはずがない。
痛みを堪えて、目を開けた老生体の視線の先では、無数に分身したサヴァリスが笑みを浮かべながら、老生体に突っ込んできた。
「GA……GAYAAAAAAAAAAAAAAA!!」
活剄衝剄混合変化、ルッケンス秘奥、千人衝。
シキの千人衝よりも正確な剄技が襲いかかる。
せめてもの抵抗として、手に持った薙刀を構えるが数人のサヴァリスが強引に腕ごと薙刀を破壊する。
「無駄ですよ」
殴る、叩く、突く、蹴る、抉る、破る、掴む、破る、砕く。
ありとあらゆる方法で破砕されていく、老生体の体。流石に粉々に砕かれては再生できないのだろう、体がどんどん小さくなっていく。
最後は、本物のサヴァリスが頭に狙いをつける。
「さようなら」
外力系衝剄の変化、轟拳。
剄が収束されて、巨大になった拳は老生体を押しつぶした。
「オラオラ!」
鉄球をまるで一個
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ