フェアリィ・ダンス編〜妖精郷の剣聖〜
第五十七話 面倒事
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。そして、先ほどまでのような気の抜けた声ではなく、鋭さを含んだ声で――
「隙だらけだぞ」
そう言って右手でシグルドのことを軽く突き飛ばし、次の瞬間蹴った地面が抉れるのではないかと心配になるほど勢いよく踏込みシグルドを蹴り飛ばした。ダメージこそ喰らわないもののノックバックが発生し、シグルドは大きく吹き飛ばされてゴロゴロと地面を転がる。それを見るだけでソレイユが放った蹴りの威力が伺えた。
「えっと・・・ソレイユ君?さっきなにしたの?」
「蹴り飛ばした」
「いや、そうじゃなくて!その前だよ!」
「あの弱っちぃのを突き飛ばした」
「そこじゃなくて!?その前のことだよ!」
なんていうコントのようなやり取りをするリーファとソレイユ。もちろんソレイユは確信犯でやっているのだが。
「手の甲で剣筋をずらした」
「は、はぁ!?」
大声を出して驚くリーファ。信じられないような目でソレイユのことを見ている。
「そんなことできるものなのっ!?」
「現にさっきやっただろ?」
「うっ・・・確かに・・・」
ソレイユの言葉に言葉を詰まらせるリーファ。確かに先ほどやっていた。だが、あまりの有り得ない現実に頭が理解することを拒んでしまったらしい。
「そんじゃ、気を取り直して出発しますか」
「う、うん。そうだね・・・」
ソレイユの言葉に頷くリーファだが、釈然としないのか返事は曖昧だった。どうやらまだ頭の中は混乱しているらしい。
ソレイユの行動に呆れていたキリトを伴ってエレベーターのある方へと歩を進めていこうと踵を返したところで、背後から怨嗟が混じった声が響いた。
「せいぜい外では逃げ回ることだな、リーファ!!今オレを裏切れば必ず後悔することになるぞっ!?」
「留まって後悔するよりずっとマシだわ」
それだけ言うとリーファはキリトの手を掴んでエレベーターの方へ歩いていく。後ろでシグルドが何かしら言っているが無視を決め込んでいた。
「・・・・・・」
だが、ソレイユはそんなシグルドの姿を見据えていた。その瞳の色に見覚えがあったからだ。すなわち、欲望にかられた狂気の色。
「(・・・これは、何か一波乱ありそうだなー)」
と口には出さず心の中で呟くソレイユ。面倒なことにならなければいいなぁ、と思いながらリーファ達の後を追ってエレベーターに乗り込んでいった。
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