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幻想の運び屋外伝 天覇絶槍が幻想入り
第一部
出会い編
第一話 天覇絶槍が幻想入り
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ここは幻想郷。忘れ去られたものが最後に辿り着く楽園である。
その幻想郷の東の端に存在する神社がある。
その神社は“博麗神社”。楽園の素敵な巫女こと、博麗霊夢がいる神社である。




「さて、することもないし。掃除でもしようかしら?」
 ある日の朝、境内を掃除しようとした私は、見慣れない服を着た茶色い髪の青年が倒れているのを見つけた。
 青年は人里で見かける者とは違い、頭には鉢巻が巻かれ、上半身は赤い革の上着のみを羽織り、火炎模様の入ったズボンにまた赤い臑当て(すねあて)と足袋(たび)を帯びていた。
 人里でこんな人を見かけたことはないし、ましてやこんな姿の妖怪も見たことはない。
 でも…この人を人間って呼んでもいいのか疑問に思うくらいに放っている雰囲気が違う。
 一体この人は何者なのだろうか……。
「ホント、面倒くさいわ……」
 私は溜息を吐きながらも彼を母屋の中へと運んで行った。


 徐々に差し込んでくる光の眩しさに目を覚ました。最初に眼に入ってきたのはよく見る木の天井。ここは上田城……なのか?
「あ、やっと起きた」
 半身を起こした所で某から見て右手にある襖が開く。そこには袖のない変わった巫女服で、肩と腋を出して白の袖を別に括り付けている黒髪の女子が立っていた
「アンタ、人の家で何日寝ているのよ」
 あんた? 多分某の事であろう……。
「……巫女殿、某はどれ位寝ていたのでござるか?」
「五日よ。全く、死んでいるのかと思ったじゃない」
「い、五日!」
 俺はそんなに長い間眠り続けていたというのか……?
「まあそれはいいとして……アンタは一体何者?」
「? それはどういう意味で……?」
「言葉通りの意味よ。見た目は人間だけど妖怪じゃない……なんていうか“アンタを人間って言っちゃいけない”ような気がするのよ」
「某は間違いなく人ですぞ!」
「人間だってことは判っているわよ。でも、なんというか……ねぇ?」
 巫女殿の妖怪発言も気になるが俺を人と言ってはいけないという言葉はあんまりだ!
「ところでアンタ、名前はなんて言うの? いい加減アンタっていうのも失礼だと思うし」
「! 失礼をいたした。某、“真田幸村”と申す」
「“真田幸村”ね……!」
 俺の名前を告げた途端、巫女殿の顔がコロっと変わったが…いかがしたのでござるのか?
「あの……巫女殿?」
「ふぇ! あ、私の名前ね。私は霊夢、博麗霊夢よ。そういえばなんで、境内で倒れていたのよ?」
「境内? するとここは神社かお寺かなにかで?」
「ここは博麗神社よ。私はここで巫女をしているわ」
「そうでござったか……」
「で、なんで幸村はなんで倒れていたのよ?」
「確か……」
 政宗殿と勝負をしていた時…死んだはずの松永に襲撃されて……。
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