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鋼殻のレギオス IFの物語
閑話 一
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ったの? 一体どうしたのよ」
「私にもよく……。只、なんでか分かりませんがシノーラさんを見たら急に目が離せなくって、胸がいっぱいになって……」
「ほら、やっぱりあなたのせいじゃないですか。何したんですか?」
「だから何もしてないわよ……。ほら、あれじゃない。確か幼馴染が遠くに行ってるんでしょ? だから心細くなってて、包容力があふれ出る私を見て急に……リーリン、抱きついてもいいのよ?」
「ふむ、別に傷とかがあるわけじゃありませんね」
「無視は止めなさい」
「冗談に付き合う気はないのですが……」
「冗談じゃないって。……えーと、ほら。取りあえずこれで涙を拭きなさい」

 そういい、ハンカチをリーリンに手渡す

「あ、ありがとうございます」
「それと、ゴミが入ったのかもしれないし、ちょっと見せてくれる?」

 そういい正面に立ち、涙を拭いたリーリンの瞳をアルシェイラは覗き込み????そこに最悪の結果を見る

(当たり、か。これだけは外れててほしかったなぁ)

 そこに移っていたのは鏡面のアルシェイラではなく、四足の獣。そしてその後ろに映る影。この都市を支配する狂った精霊に、アルモニス家によって秘匿されるこの都市の真実。眠るもう一つの魂
 その結果が示すのは、目の前の少女がどうしようもない未来を強要されるだろうという必定

(武芸者でないこの子に“眼”が行くなんて……皮肉にもならない。ヘルダー、初めてあなたを憎むわ)

 四足の獣???グレンダンから報告を受けたときは悪い冗談だと思った
 “縁”という良く分からないシステムでシュナイバルから連絡を受け、“眼”を受け継ぐものが出たと
 レイフォン・アルセイフがその関係者だと聞き、暇つぶしにはなるかとその周辺人物の情報を手に入れた
 当たり前だが、最初はロクに信じていなかった。当たり前だ。そこに載っていたのはデルクを除けばどれも一般人ばかり。始祖の血を、武芸者として血統を高めてきた王家ならまだしも、何の繋がりもない、ましてや武芸者ですらない者に現れるなど考えられなかった
 それに、その内のほとんどの人物に関しては親などもはっきりとしていた。だからこそ、シュナイバルの見間違いだと断定しようとし???一人の少女に目が止まった
 普通なら何の気にも留めないはずの少女の経歴を見てふと、悪い考えが走った

 その少女、リーリン・マーフェスは親が分からず、その名も養父から与えられた十二歳の少女。レイフォン・アルセイフと一番長い間共にあり、一般人であるという事を除けば、可能性が一番高いだろう少女で紙を捲る手が止まってしまった
 十二年前に生まれた、身元の分からない少女。メイファー・シュタット事件と呼ばれるにおいて生還した存在
 ふと、思い出してしまったのだ。????十二年
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