閑話 一
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お菓子を渡すと先ほどまで睨み気味だったトビエは顔を綻ばせ、戸惑いの表情を浮かべていた他の子達も嬉しげな表情を浮かべる
箱を持ったトビエは奥の部屋に行き、お菓子のことをリーリンに知らせに行く
レイフォンに頼んで作ってもらう場合、大抵はリーリンに黙って作ってもらうため、ばれると怒られるので当然知らせることはない。しかし、誰かから貰った場合など、隠す必要がないのに勝手に黙って食べてしまうとそれもまた怒られる。だからこそ、人から貰った場合などはきちんと報告しに行くのだ
「あんなの買ってたんですね」
「初めてだし、手ぶらなのもあれかと思ってね。途中で買い食いした時に一緒に買っといたわ」
「そうですか。それよりも早く手紙が読みたいです」
そんなことを話していると奥の部屋に行っていたトビエが箱を持ったまま戻り、兄弟たちに声を掛けてそのまま一緒にテーブルのあるキッチンの方へと向かって走って行き、それを追うように声が飛ぶ
「こら、走らないの!」
「「はーい」」
「まったくもう……」
呆れる様な声を出しながら、手に封筒を持ったリーリンが部屋から出てくる
はあ、と溜息を吐きながら眉根を寄せているリーリンにクラリーベルは近づく
「お久しぶりです、リーリン」
「あ、久しぶりクララ。お菓子有難うね」
「いえ、それは私じゃなく、シノーラです」
「クララの親戚のシノーラ・アレイスラでーす☆」
紹介を受けたアルシェイラが前に出ながら軽快に自己紹介をする
「あ、はい。私はリーリン・マー……」
それを聞き、こちらも返事を返そうとリーリンはそちらに視線を向け
「????あ」
????その手から、封筒が落ちた
???ツゥ
呆然とした表情を浮かべたまま、アルシェイラを見つめるリーリンの瞳から涙が流れ始め、頬に一筋の道を作り始める
「ちょ!? シノーラ、何したんですか!?」
「ええ、私!? いやいやいや、何もしてないの見てたでしょ?」
「見えなかったからあなたに言ってるんじゃないですか。……リーリン、どうしたんですか?」
「その信頼が痛いわね。……えーと、大丈夫?」
何か起こって見えなかったからお前のせい。そんなあんまりな信頼の仕方に少し悲しくなりながらも、クラリーベルと同様にアルシェイラはリーリンに声を掛ける
それを受けたリーリンはふと我に返る
「あれ、私……。あ、はい。大丈夫、です」
「でも、泣いていますよ?」
「え?」
言われ、リーリンは目元を手で拭い、濡れたそれをみて自分が涙を流していることに気づく
その際に傾けたせいで頬を伝わった涙がポツン、ポツンと滴となり顎から垂れ床を濡らす
「え? 私何で泣いて……」
「気づいてなか
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