黄巾の章
第21話 「そ、そこまで言ってねぇ!?」
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だった。
軍師の利の部分では共感できる。
理解もする。
だが……それを行う不利益に私は否といわざるを得ない。
それでは……自分の身内すら殺すその政策は、己の首を絞める悪癖でしかない。
なにより、雪蓮は……孫伯符は、きっとそんな愚は犯さない。
雪蓮にとっては、孫呉の民が……『家族が幸せに暮らすこと』が全てなのだから。
「しゅ、周瑜、様……だれかきます」
兵の一人が、口元を押さえながら報告する。
その方角から歩いてくるのは……
「雪蓮!」
私は、その姿に駆け出す。
雪連は、その両腕に子供を抱きかかえながらこちらに歩いてきた。
「やほー。冥琳にしては、思ったより手間取ったんじゃない?」
「ばか者! こっちは宛での戦闘の取りまとめもあったんだ! おまけに援軍要請の場所には黄巾の死体しかないし……董卓軍の伝令が気を利かせていなければ、この場所だってわからなかったんだぞ!」
「あー……そういや、伝令するのをすっかり忘れていたわ。あはは」
「あはは、じゃない!」
私は雪蓮の頭に、ゴンッと鉄槌を下す。
「いったーい! もう! 悪かったわよっ!」
「とても反省しているようには……なんだ、その子供は」
私は、雪連の腕の中にいる少年を見る。
酷く憔悴した顔で眠っているようだ。
「あー……うん。まあ、邑の生き残り、かな」
「……そうか」
「他にも生き残った人を宛に連れて行くように指示したんだけど……どこかで会わなかった?」
「いや……我々は西から直接来たのでな。宛の方向は南西だし、すれ違ったのだろう」
そうか。
多少は生き残ったか……
「この邑の惨状……まさか、お前がやったのか?」
私は雪連の……戦闘の興奮による豹変のことを思い出し、そう尋ねる。
だが、雪連は静かに首を振った。
「わたしじゃないわよ……というか、ここまで人間離れした殺し方なんてできないわよ」
「……それもそうか」
周囲にある人の死骸。
それはまさに人在らざる者の仕業。
顔が砕かれ、四肢は千切れ、胴体は押しつぶされている。
炎で焼け死んだ姿もあれば、鋭い刃物のようなもので細切れにされた肉片すらある。
いったい、なにがあったのだ。
想像すらつかない。
「雪蓮、なにが――」
「ごめんね、冥琳。今は……聞かないで」
そう答える雪連の顔は……寂しさと、切なさと……まるで……嫉妬?
そんな複雑な感情を入り混ぜたような表情で……
何もいうことが、できなかった。
―― 盾二 side ??? ――
闇――
何も見えない。
何も聞こえない。
ただ、そ
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