黄巾の章
第21話 「そ、そこまで言ってねぇ!?」
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の兵が外に駆け出して行った。
「そういや、孫策軍はどうしたんだ?」
「あー……なんや孫策の援軍に行くいうてたから、半数だけ行かせたわ。周瑜が部隊率いて向こうとる。半数は駐留部隊で炊き出しや家屋の修復させとるよ」
「そっか……どの道、しばらくはここから動けないな」
あたしが呟くと、霞が頷いた。
「まあ、兵が減ったのはしゃあないとして。どの道、洛陽からは宛で待機、警戒の指示が来るやろな。ここを抜けられたら洛陽までは一直線やし、間違ってもこの場所を取り返されるわけにはいかんし……」
「そうですね。それに、霞さんは……いえ、私達は功を立て過ぎました。これ以上は、たぶん……」
朱里の言葉に、霞が頷く。
「まあ、これ以上はなにもするな、やろな。きっと他の黄巾の部隊には、諸侯の部隊を充てるやろ……うちらはここで待機。たぶんこの乱が終わるまで、な」
「時期がいいのか、悪いのか……」
あたしが呟く言葉に、霞、朱里、雛里がそれぞれ神妙な顔をして頷く。
義勇軍はもうガタガタだ。
武将である愛紗も鈴々も、しばらくは戦場に立てないだろう。
残るは孫策軍と董卓軍のみとなる。
だが、董卓軍の数は五千程度。
孫策軍は一万。
義勇軍は逃散兵が多くて、いまいち把握ができないが……五千残るかどうかだ。
こんな状態で作戦行動など出来る訳がない。
そしてまだ連絡が来ないが……盾二と桃香が心配だ。
もし、どちらかが死んだりしたら……
ブルッ!
思わず浮かんだ考えに、あたしの身体が震えた。
そんな筈はない。
あの盾二がそう簡単にくたばるもんか!
きっと桃香を連れて……平然と戻ってくるに違いないんだ!
―― 周瑜 side 宛近郊 邑 ――
「……なにが、あったんだ」
思わず呟く。
邑に到着した私が、その朱に染まった邑の惨状に眼を覆った。
黄巾の部隊がここで虐殺をしたのか?
だが、死体がほとんどない。
あるのは……夥しい血と、数え切れない肉片と、人だったモノの欠片。
(尋常じゃない)
そう思ったのは、私だけではなかったようだ。
そのあまりの惨状に、連れてきた兵たちが嘔吐している。
(普通に邑人を虐殺したとしても……ここまでひどいことにはなるまい)
これではまるで……かの秦の武将、白起の大虐殺のようだった。
かの武人は、徹底的に相手を殺しつくし、味方すら糧食不足を理由に全て殺しつくした逸話がある。
唯一救われたのは少年兵だけだった……その理由も愛玩のためというのだから救えない。
諸説様々に伝え聞くが……私は、個人的に彼が嫌い
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