第十三章 罠
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セットに座るのが常であったのだ。席に着くなり小倉が問う。
「どうだった、会議のほうは?」
「あんまり芳しくありませんでした」
「まあ、あの会議のことはあまり気にすることはない。それより、だいぶ落ち着いてきたみたいじゃないか」
「ええ、ようやく変お客が少なくなってきました。勿論皆無というわけにはいきませんが、最初に比べたら天国みたいなものです」
「そうか、それは良かった。しかし、厨房の腕が悪いって噂は本当なのか」
この言葉を聞いて相沢はぷっつんしてしまった。全てはそこから始まっているのだ。その噂にどれほど心を痛めたであろう。会議での鬱憤を晴らすかのように、言葉が奔流のように流れて止まらなくなった。
林の退職の経緯、石田の仕事ぶりや山本とのあやしい関係、瀬戸物混入事件、そして山本が厨房に押し付けようとした鮮魚と肉の業者が、会社の仕入れ業者でなかったこと。そして肝心なこと、山本が何にもやっていないことをぶちまけた。
小倉は苦笑いを浮かべながら言った。
「分かった分かった、そう興奮するな。正義感の強い相沢君が怒るのは無理はない。その林君には気の毒なことをした。でも、その石田課長と統括事業本部長が日に2回も銀行回りに出掛けるというのは本当の話なのかい」
「ええ、本当です。午前中は1時間、午後は2時間かかってます」
ふーんと考え込んでいたが、にこりと笑顔をつくると、こう言った。
「まあ、そうかりかりせず、冷静になることだ。何かが見えてくるかもしれん。まあ、僕達は君に期待しているよ。頑張ってくれたまえ」
東京から快速に乗った。相沢は小倉部長の言葉を繰り返し反芻していた。小倉は言った。
「僕達は期待している」と「僕達」とは小倉と誰のことなのか?単に会社の仲間?いや、もしかしたら専務ではないか。
「何かが見えてくる」という言葉も気になる。山本の身辺を探れという意味かも知れない。甘い期待が相沢の心をうきうきさせたが、敢えてそれを否定した。何故なら、期待した分、落胆も大きいからだ。
しかし、会社の仕入れ業者でない鮮魚と肉の業者を厨房に薦めたことに何の反応がないのはどういう訳だ。などと思案している間に、深い眠りに陥っていた。
事務所に戻ると隣接するスーパーの片桐店長が向井と話していた。片桐は「よっ」と挨拶し、相沢に席を返し、隣に移った。そして言った。
「今日の晴れの舞台、上手くやったか?」
相沢は両肩をちょこっと持ち上げて惚けてみせた。向井がにこにこしながら言う。
「しかし思い切ったね、課長。最初に読んだときは思わずどきどきしちゃったよ。それで上の方の反応は?」
「全く無視されました。期待した専務はただ聞いていただけ。終わったら、常務が次の議題があるからもういいよという調子で会議室を追い出されました」
「山本さんはど
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