第十一章 乱交
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が何も思い出せない。むしろ思い出さない方が幸せなのかもしれないなどと考えながら、部屋に戻った。清水は尻をだして高いびきだ。ふと、その隣に小さな足が出ているのに気付いた。
布団から乱れた長い髪がこぼれている。布団をそっと剥がした。女だ。可愛い女の寝顔が目に飛び込んできた。よくよく見ると赤城君子だ。中途採用で本部の総務部に配属予定の事務員だった。一週間ほど前から研修に来ていたのだ。
その目がうっすらと開いた。その目が輝いてにこっと笑った。そして言ったのだ。
「課長、もう、起きてたの。清水君は?」
相沢が君子の隣を指さした。君子はすぐに気付いて、隣に寝ている清水の唇に長々とキスをする。すると清水が「うーん」と声を発して背中を向けた。
君子が半身を起こした。その瞬間、ぽろりと布団が落ちて形の良い乳房がぽろんと顔をだした。相沢が固唾を飲む。にーっと笑って、君子が微笑む。
「昨日は楽しかったー。課長ってすごいんだもの。何回も行っちゃった」
その時、がーんと後頭部を金槌で叩かれたような衝撃に見舞われた。何も覚えていないのだ。相沢はどうしたらもう一度お相手願えるか考えた。思い出せないのなら、やった意味がない、いや、やったことにならない。だからもう一度、と思うのだが、さて、さて。
いきなり抱きつくのも変だし、もう一発なんて林田みたいに言える訳もない。こんな場面でどう対処したらいいのかさっぱり分からない。立ちつくしている間に、清水が目覚めた。相沢の目の前が真っ暗になった。清水がごそごそと起き出して、
「あれっ、二人とももう起きてたんですか?はやいですね」
と言って大欠伸。ふと、何かを思いだしたらしく、慌てて聞いた。
「課長、本当にここで働いていいんですね。高校中退でもかまわないのですね?」
下半身をぱんぱんに張ったまま答えた。
「昨日、もし、そう言ったのなら、武士に二言はない、雇う。で、俺、どこが募集してるって言ってた?」
「風呂場担当って言ってました。女風呂覗き放題って。何か楽しそうな職場だなー。よし、ばりばり働くぞー。お袋、びっくりするだろうなー、俺が一流企業の社員になったなんて聞いたら」
「おいおい、ここは子会社だよ、一流企業っていうわけじゃない」
「どっちにしろ一緒ですよ、親会社だろうが子会社だろうが」
相沢は苦笑いして頷いた。酔っていても、仕事に関してはまともだったようだ。八王子祭りの後、上田が一身上の都合で辞めた。よっぽど恐ろしかったのだろう。それで募集をかけていたのだ。清水ならりっぱに勤めてくれるだろう。
その時、食堂で数人の女達の笑い声が聞こえた。相沢は焦って時計を見ると10時半である。早番のパートさん達の休憩時間である。おい、と二人に声をかけ、とりあえず君子を押入に入れて、慌てて店のお仕着せを着込んだ。
パ
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