第八章 暴走族
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うぜ」「ヤバいよ」などと言っている。威勢のいい若者も3人に引きづられるように車に戻ってゆく。キーという音と共に急発進して2台の車は闇の中に吸い込まれていった。
どちらともなく二人は声を上げて笑い始めた。こみ上げてくる可笑しさは止め処なく溢れ、腹を抱えて笑った。久美子が車の窓から身を乗り出し、やはり笑いながら二人に声を掛ける。
「あんた達、いつからうちの組員になったの?」
林田が笑いながら答える。
「俺はちっちゃい頃からお嬢様の家来だったじゃねえか。それよか、相沢さん、鯨井組はいいとして、鎌田組はないんじゃない。副支配人、今頃、クシャミしてんじゃねえの。思わず吹き出しそうになっちゃった」
「しかし、今まで経験したことがこんなところで役にたつとは思わなかった。いや、おかしい」
3人は笑い続けた。緊張感の後の弛緩した神経が可笑しさを倍加している。たまったストレスを吐き出すように、それは爆発した。ヤクザとの戦いに明け暮れた日の最後に、二人はヤクザの振りをして、暴走族の暴力から逃れたのである。笑わずにはいられなかった。
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