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愛しのヤクザ
第四章 パチプロ
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で頑張ってきた。それが石田ときたら、現場に一切出ようとせず、日曜祝日は休み、山本の世話を焼くのが自分の仕事と勘違いしている。 
 その石田が、ごそごそとバッグから何かを取り出した。小さなビンだ。ちらりと上目遣いに相沢を見るが、何事もなかったように爪にマニュキュアを塗り始めた。相沢はため息をついた。向井に相談するしかない。相沢は居眠りする向井の肩を揺すった。

「まあ、そう悩むなよ。あいつはそんなこと気にする男じゃないから。俺から話すよ」
ほっと胸を撫で下ろし席に着いた。すると向井が大きな声で林に声をかけた。相沢は時間をかけてゆっくりと説得するものとばかり思っていたので焦って、止めるよう合図を送るが、既に大声で話は始まっていた。
「おい、林君。君の今までやっていた総務の仕事、全部経理課長に渡してくれ。君は副支配人候補ってことで、俺の補佐を頼むよ。まあ、今まで現場でやってきたことの延長みたいなことだけど、とにかく頼むよ」
一瞬、林は困惑した顔をしたが、向井が頭を下げているのをみて、即座に答えた。
「いいですよ、俺もこの仕事、向いてねえと思ってたところだから。本部から間違い指摘されるたんびに、落ち込んでるより、そっちのがいいや。何かせいせいしちゃった。ねえ、石田経理課長、教えっからこっちへ来いよ。ほれ、俺の膝の上に腰掛けて」
そんな下卑たジョークに反発するでもなく、石田は目を輝かせ、
「本当、嬉しいー。私、前からコンピューターに興味持ってたの」
と言うと、林の隣にちょこんと座って画面を覗き込んだ。向井が相沢に小声で言った。
「課長、林は分かっているんです。石田が林の仕事をやりたがっていたことも、統括事業本部長がそれを後押ししてることも。林は即座に了承したでしょう。あいつだって元店長経験者だ。俺の気持ちなど手に取るように分かる。そんなもんです」
これを聞いて、相沢は林に負けたと思った。林はこの数ヶ月、パソコンの研修を受け、プログラムの導入から実施まで手がけてきた。その仕事をあっさり人に譲るというのである。いつまでもプライドを捨てきれない相沢より、年は若いがよほど大人である。

 清水郁子がフロントから顔を出し、ニヤニヤしながら相沢を呼んだ。お客さんだという。フロントに出ると、例のボーイッシュな女が待っていた。横に林田が佇み親しげに話している。林田は相沢に気付き話しかけた。
「課長も隅におけないですね。車で久美子を追い掛け回すとは。でも、後ろから追いかけて、何で久美子が美人だって分かったんです?」
「まさか、林田君のお友達?」
「情婦ですよ、ただのセックスフレンド、ねえ」
女は笑顔を見せ、肘で林田の腹を突いた。かなり本気だったらしく、林田はうーと唸ってうずくまっている。相沢は最初に謝ってしまおうと、ぺこりと頭を下げ、言った。
「あ
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