第23話 君の名を呼ぶ
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での台詞の続きから、そう答える俺。まして、薄幸の美少女系の表現からすると、ダウンよりは、メランコリーと言う方が相応しいでしょう。
しかし……。
しかし、再び冷たい視線で、俺を見つめながら、
「メランコリーねぇ」
……と呟くハルヒ。御丁寧な事に胸の前で腕を組みながら。どうやら、まったく信用されていない雰囲気。
どうも、先ほどふざけ過ぎた事が、少し問題が有ったのでしょうね
それならば、
「多分、寂しいんやと思うな」
俺が、先ほど浮かべていた、俺的には少しアンニュイな表情を浮かべて、ハルヒに対してそう答えた。
もっとも、自分の顔を自分で見る事は鏡でも無ければ難しいので、これは完全に自己申告以上の物ではないのですが。
しかし、俺の台詞を聞いたその瞬間。
「あたしがわざわざ相手をして上げて居るのに、寂しいって、どう言う意味よ!」
先ほどまで、少し俺を心配してくれていたような雰囲気をあっさりと吹き飛ばし、ハルヒはそう言った。柳眉を逆立てる、などと言う綺麗な表現を用いられる状態などではなく、彼女の今の勢いを正しく表現するのなら、爆発した勢いで山頂部分まで吹き飛ばして仕舞った活火山と言う表現がしっくりくる状況。
ただ、そんな事を言われても、実際に、寂しさを感じて居るのですから仕方がないでしょうが。
「そうやなぁ。例えば、大勢の仲間に囲まれて楽しく騒いでいたとしても、不意に寂しく成る事はないか?」
非常にキツイ視線で俺を睨み付け、胸の前に組んだ腕の上で、少し苛立たしげに指でリズムを刻んでいるハルヒに対してそう話し掛ける俺。
そして、更に続けて、
「そう。大勢の仲間に囲まれて居たとしても、実は自分は今、独りぼっちなんと違うかいな。そう思う瞬間ってないか、ねえちゃんは?」
かなり、真面目な表情で、ハルヒに話し掛ける俺。それに、感覚としてはこれが一番近い。
気だるい休日の午後。外は雨。目の前には確かに美少女が陣取って何やら話し掛けて来てくれるけど……。
「俺は、ここでは異分子。状況が整えば、元々住んで居たトコロに帰る宿命を持つ旅人。外に降っている冷たい雨を見つめていたら、微妙な疎外感のような物を感じて……」
そして、何故か妙に寂しくなった。そう、ハルヒに対して答えた。
但し、これは俺が感じた寂しさの半分程度の理由を示したに過ぎない言葉。
そう。俺が感じて居る寂しさの一番大きな理由は、ここには、あの娘を連れて来て居ないから。
こちらの世界に来てから、何やかやと言いながら、ずっと一緒に居た相手が居なくなった。そうしたら……。向こうの世界では一人なのはそう珍しい事でもないのに、何故か、急に寂しくなった。
ただ、それだけの事。
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