第23話 君の名を呼ぶ
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いて居るらしいので、本当の一般人が近付いて来るのは難しいらしいのですが。
但し、この目前の少女。涼宮ハルヒの頭の中には、彼女が探し続けると宣言した不思議な出来事を察知する高感度センサーは内蔵されて居るようなのですが、残念ながら、その不思議な出来事を不思議な事だと認識する機能は有していないみたいなので……。
もう少し、周囲の雰囲気を読む能力を付けた方が良いのでしょうね、このお姫様の場合はね。
「そうかも知れへんな」
そう、少し……。いや、かなり、気のない答えを返す俺。
そんな、まるで俺の周囲に蟠る、エアコンに因り適度に調整された温い空気と、足元に蟠って居る冷たい空気の違いすら鬱陶しく感じて居る。そんな雰囲気で……。
そして、更に続けて、
「俺は冬の氷空が嫌い。そして何より、雨が嫌い。このどんよりとした雲の層が頭の上にのし掛かって来るような気がして来て、気分をより陰鬱なモンに変えてくれるからな」
かなり、気だるい雰囲気を纏いながらの、この台詞を口にしたのでした。
それに、これは事実。授業中。テストが早く終わって、右手で頬杖を突いてぼぅっと外を眺めている時に、その外の景色が雨雲に覆われ、アスファルトの彼方此方に水溜まりを作り上げ、その水溜まりや、何より窓ガラスを音もなく叩き続ける細い雨の線が、何となく気分を陰鬱な物に変えて行くのは何時もの事。
但し、今日に限っては、そんな散文的な理由だけで、気分が落ちている訳ではないのですが。
まして、俺も人の子。偶にはダウンな気分の時も有って当然でしょう。何時でも、何処でもハイテンション。頭の中は常に停滞性の高気圧に覆われて居てピーカン状態。
そんな人間が存在する訳は有りませんから。
そこまで考えてから、この台詞が開始されて以来、初めて目の前の席に陣取った少女に視線を移す俺。
其処には普段通りの……。いや、不機嫌ではない。何故か少し、心配したかのような雰囲気を発する美少女の姿が存在していた。
少し、彼女の顔を見つめ直す俺。
確かに、昨日までと雰囲気は少し違いましたが、ハルヒに心配されるほど、酷い状況だったとは思えないのですが。
そんな、俺の考えて居る事など気にしようとしないハルヒが、更に、
「あんたも、冬になると冬眠したくなるタイプなの?」
……と、そう問い掛けて来る。そして、その言葉の中にも、ほんの少しだけ、俺の事を心配しているような気配が流れて来て居ました。
もっとも、これは俺が気を読む生命体だから判る事で有って、普通の人間には判らない。表面上からは一切判らない程度の、本当に微妙な雰囲気なのですが。
ただ……。
「いや、そんなに酷い状態でもなかったんやけどな」
先ずは否定の言葉か
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