第23話 君の名を呼ぶ
[3/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
がら、独り言を呟いた。
元々、俺自身が敵でもない女性に手を上げられるような人間では有りませんから。更に、万結と有希と言う二人の存在自体から感じる雰囲気や、話し方、視線の送り方まで同じ。こんな相手を本気に成って相手出来る訳がないでしょう。
瞬間、逆巻く暴風が、この空間……おそらく、壺中天で再現された異空間で暴れ回る。
そう。それは、万結が振るった死に神の鎌の一閃より発せられた蒼銀の魔風。
無造作に振るわれたと思しき一閃から放たれた蒼銀の魔風は、すべてを切り裂く破壊力を秘め、俺と、そして、俺と万結の模擬戦を見つめる水晶宮長史に接近する!
しかし!
「火行を以て金行を剋する、燃えよ!」
しかし、その術に因る風が万結より発生するその一瞬前に俺の口訣が唱えられ、導引が結ばれる。狙いは同じ。距離を取ったからと言って、双方にその距離を無効化する策がない訳では無い。
その瞬間、俺の構える七星の宝刀が、灼熱の輝きを示す!
そう、その瞬間に周囲の炎の精霊が活性化し、刃に浸透し始めたのだ。
炎を纏いし刃は、しかし、その精霊力を爆発させる事はなく、逆に収斂させて行き……。
限界まで集めた精霊力が、刀身を灼熱の色に染め上げ、少し悲鳴にも似た軋みを上げる。
そして――――。
無造作に振り抜いた一閃が、紅の光の断線と成って、こちらは大地に隠しきれない被害を与えつつ前進。
次の刹那、俺と万結。二人の丁度中間の位置でぶつかる紅と蒼銀。そのふたつの光の激突は、まさに神話級の破壊力を生み出しつつ、それでも尚、お互いが合い譲らず、その支配領域の拡大を図る。
紅と蒼。眩いばかりの光の共演。そして、刹那の拮抗。
そう。それは大地を揺るがし、その場に隠せぬ傷痕。巨大なクレーターを作り出し、衝撃波と、その後に朦々たる土煙を上げた。
しかし、状況の遅滞は一瞬!
その土煙の中心から発生する金属同士がぶつかる時に奏でられる天上の音楽と、閃く銀の光が、その朦々と舞う粉塵を一気に薙ぎ払って仕舞ったのだ。
俺、そして、万結にしても、そんな衝撃波程度でお互いを屈服させられるなどと考えて居た訳では無かった。
衝撃波すら発生させながら、お互いの生命をかき消そうとする紅と蒼の光に遅れる事数瞬。双方が相手に向けて突き進んで来て居たのだ。
先ほどとは違い、右下方からすくい上げるように薙ぎ払われる一閃を、右足を滑るように踏み込ませ、身体を前方にやや沈み込むような形で上方に空を斬らせ、かなり低い位置からの一閃。
しかし、完全に万結の懐から行った攻撃さえも、やや持ち手を移動させた死に神の鎌に因り防がれる。
その次の瞬間、攻撃を防いだ威力をそのままに、今度は石突きの部分で俺の振り
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ