第23話 君の名を呼ぶ
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》の部分を別の素体に移す、と言う方法が簡単なのですが……。
そうすれば、彼女の記憶は残す事が出来ますし、世界に与える影響も少ない。
誰にも迷惑を掛ける事のない、理想的な決着だとは思います。
ただ……。
「聞きましょう」
ただ、その方法では、何故か逃げている。そんな風に感じていた俺に対して、そう答えてくれる和田さん。
その言葉の中には、矢張り、俺を試して居るような気配が存在している。
これは……。
俺は、水晶宮の長史の顔を真っ直ぐに、少しの能力を籠めた瞳で見つめる。
そう。彼の真意を探る為に。
これが、何らかの意図を持った問い掛けならば、もしかすると……。
しかし、其処には、それまでと変わらない、理知的で、整った顔立ちの東洋風の顔立ちの青年が存在して居るだけで、彼の真意を、その表情及び雰囲気から探る事が出来はしませんでしたが。
そもそも、俺が真意を見抜く事が出来るような相手ではありませんでしたか。
ならば、迷って居ても仕方がない。
俺の考えをぶつけて、その上で納得して貰う。それ以外に方法は有りません。
その上で負うべきリスクも、すべて俺自身が負えば済む事ですから。
「その方法と言うのは……」
☆★☆★☆
無味乾燥の茫漠たる空間。
その、何処とも知れぬ空間に対峙する俺と、そして神代万結。
彼女の手には、あの出会いの夜に彼女が装備していた死に神の鎌が握られ、
片や、俺の方は、普段通りの徒手空拳の状態。
但し、既に俺の方は龍種の生来の能力。肉体強化で自らの能力の強化を行って居ます。
そして、おそらく万結の方も、それに類する能力を使用している事は想像に難くはないでしょう。
何故ならば、彼女の身体の周囲に存在する精霊が活性化し、仄暗い世界の中で淡い光を発生させて居ましたから。
刹那、万結が動き出した。
彼我の距離は二十メートルほど。その距離を一瞬で詰め、
しかし、次の刹那、俺と彼女は十メートルの距離を置いて、再び相対している。
そう。その一瞬の煌めき。左下段より振り抜かれた死に神の鎌を半歩。いや、ほんの少し右脚を斜め前に踏み込む事により、被害を前髪の数本を犠牲にするに留め、
その大振りの鎌が半瞬前まで俺の首が有った位置で空を斬り裂いた瞬間、俺の手の中に顕われた七星の宝刀の一閃!
しかし!
その必殺の間合いで放たれた俺の一閃も、今度は万結の持つ死に神の鎌の石突きの部分で簡単に防がれて仕舞う。
一瞬の交錯の後、俺と万結は再び距離を取り、相対す。
正直に言うと、
「非常にやり難い相手……か」
俺は、俺の正面に相対し、死に神の鎌を構える少女を見つめな
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