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ほこりも一切積もっていなかった。 母に聞いてみると、定期的に誰かが掃除しているとのこと。 誰かは教えてくれなかったけど……。
そして、母が買い物に行ったのだが帰ってこなかった。 ちょっと夕食の買い出しに行ったはずなのに2時間たっても帰ってこない母を不審に思ったりもしたが、懐かしい故郷で古い友人とでもあって話がはずんでいるのだろうと思っていた。
私も別に一人で何もできないお嬢様というわけではないので、部屋を掃除したり、ちょっと紅茶を入れてみたり、ゆっくり本を読んでみたりと、自由に過ごしていたわけである。
母が帰ってこなくなって3時間ほど経過した頃だろうか?
我が家の玄関が軽やかにノックされた。
『お客様が来たら扉をあける前に玄関先で身元を問いなさい。 身元不明なら魔法で吹き飛ばしても問題ありません』という母の教えを忠実に守り、ドア越しに声をかける。
問いかけた私の問いに対する答えは「魔法省のクラウチと申す者です」という言葉。 「魔法省の方からきました」とかいう詐欺的な言葉ではなかったのと、魔法省という一応しっかりとした場所からの来訪とあり、ドアを開け、一応身分証も確認させていただいた。 身分証の真贋を見極めるような事は私には出来ないので、提出されたものを信じるしかなかったのだが……。
それよりも初めてのお客様である。 『しっかりおもてなししなくてわ!!!』と気合いを入れ、リビングに通す。
3人組みで来られた魔法省の方々はなぜかおっかなびっくりといった様子で、壁に触れることすら恐る恐るで、慎重に廊下を進んで付いてこられていた。 リビングについた時、クラウチと名乗った魔法省の方以外は、「意外に普通の家ですね」、「いや、油断するな……どこに悪質な罠があるかわからん!!」なんて小声でささやき合っていた。 失礼な!! 普通の家に決まっているでしょうが!!
席を進め、紅茶を入れて振舞う。 お茶菓子としてクッキーも出したが、なぜか三人とも手をつける気配がなく、仕方なく一人で食べていた。
「突然の訪問、誠に申し訳ない」
突然話し始めたクラウチさん。 聞いたところによると、父→悪い人、母→父の協力者なので私もその素養がないか調べるということ、また、母は現在魔法省に連行されているということ。 母は最悪、暴れられるかとも思っていたが、意外におとなしく付いてきたのでびっくりしたということが語られた。
突然の話に驚愕で言葉も出ない私を余所に、クラウチさんが問いかける。
「お嬢ちゃん? お父さんの名前はわかるかな?」
「お父様ですか? 確か……『ヴォルデモート』だった気がします。 家名は……あ、そう言えば家名は聞いたことがありません。 お父様の家名はご存知なのでしょうか?」
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